記事一覧

メタファー

人と人とが、それぞれに固有の世界を持ちながら衝突して、相互に影響を与えあっている。綺麗なものと綺麗なものがぶつかることで透明な破片が生まれ、周囲の光を乱反射させ…

サカナ
5か月前
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フェス

先日、生まれて初めてフェスに行ってきた。会場では巨大なスピーカーから爆音が鳴り響き、その奔流の中で俺は叫んでいた。このまま俺をぶっ壊してくれぇぇぇぇ。と、心の中…

サカナ
7か月前
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グルーヴ感

母方の祖母は魔女のような人で、中国地方の山奥に住んでいる。場所が場所なので、母も滅多に帰らないのだが、九月の連休に叔父が赤ちゃんを連れて帰るということで、久しぶ…

サカナ
8か月前
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アクト・オブ・キリングと七人の侍

課題映画として選ばれていた、「アクト・オブ・キリング」と「七人の侍」。この二本の映画は、ジャンルや制作年等がかなり異なっており、鑑賞前は、全然別の話ならどっちも…

サカナ
8か月前
6

バイトの話

総合病院で電話交換のアルバイトを始めた。白状してしまえば、これが人生初のアルバイトで、大学4年生になるまで働いたことがなかった。お坊っちゃんやな、などとたまに言…

サカナ
9か月前
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メタファー

人と人とが、それぞれに固有の世界を持ちながら衝突して、相互に影響を与えあっている。綺麗なものと綺麗なものがぶつかることで透明な破片が生まれ、周囲の光を乱反射させる。これがキラキラ大学生の正体だ。彼、彼女らの発散する輝きに気圧されながら、ゼミの教授の最終講義を聞いた。

講義は私的経験からいかに数理モデルを導いてくるのか、という話が軸になっており、この手法を用いることで、経済学者として社会学、神学、

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フェス

先日、生まれて初めてフェスに行ってきた。会場では巨大なスピーカーから爆音が鳴り響き、その奔流の中で俺は叫んでいた。このまま俺をぶっ壊してくれぇぇぇぇ。と、心の中で。もちろん、現実的に考えて、服が自然と振動するほどの音の波を全身で浴びていたとしても、俺という主体はそう簡単にぶっ壊れない。そんなことは知っている。そしてさらに悪いことに、俺は俺がぶっ壊れることを、心の底では望んでいない。これはもう、揺る

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グルーヴ感

母方の祖母は魔女のような人で、中国地方の山奥に住んでいる。場所が場所なので、母も滅多に帰らないのだが、九月の連休に叔父が赤ちゃんを連れて帰るということで、久しぶりに集まることになった。その日は敬老の日だったのだ。親族が全員集合するのは数年ぶりで、面倒だなと思いつつ、すぐにバイト先へシフトに入れない旨を伝え、新幹線のチケットを予約した。

古い木の香りがする廊下を抜けて、祖母の描いた絵と暖炉、そして

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アクト・オブ・キリングと七人の侍

課題映画として選ばれていた、「アクト・オブ・キリング」と「七人の侍」。この二本の映画は、ジャンルや制作年等がかなり異なっており、鑑賞前は、全然別の話ならどっちも飽きずに最後まで見れそうだな、くらいに思っていた。しかし、いざ見てみると、共通するテーマもあったと感じた。

それぞれのあらすじは以下の通りである。

「アクト・オブ・キリング」

「七人の侍」

最も印象的だったのは「七人の侍」のラスト、

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バイトの話

総合病院で電話交換のアルバイトを始めた。白状してしまえば、これが人生初のアルバイトで、大学4年生になるまで働いたことがなかった。お坊っちゃんやな、などとたまに言われることがあり、自分はその都度否定していたのだが、あながちズレた指摘ではなかったのだろう。お金を貰って働く、学生としてではなく、労働者として社会と接点を持たなければ見えてこないものがある。

鳴り止まない電話を朝から晩まで取り続けていると

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