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はっぴいえんど / 風街ろまん ディスクレビュー

「急かさないし落ち着かせすぎない」

この作品ははっぴいえんど2作目のオリジナルアルバムである
1971年に発売された作品ではあるが今もまだファンが増え続けている一枚である


この作品の中では特に「風をあつめて」はCMで使われたりしているので
今の時代の人たちにも耳馴染みのある曲だと思う

アルバムで「風をあつめて」「暗闇坂むささび変化」「はいからはくち」
この3曲の流れがこの作品の一番頂上へ登って行く所だと感じた

メンバーの力が抜けてふざけているのかと思えるぐらい遊んでいる部分と
心の中にある大事な思いや風景とが良いテンションで表現された流れだった

「風をあつめて」は難しい曲だけど強い曲でどしっとしている印象だ
別に全てが当てはまる感情でもないのに色々頭に巡ってしまう不思議な曲だ

「暗闇坂むささび変化」モモンガと歌う印象的なフレーズがある曲で
コーラスとアコギの音が心地良く日本的な香りがする一曲である

そして「はいからはくち」は楽しい曲と言うとあまりにシンプルだが
楽しい曲だと思うなかなか掴みきれない所が何度も聞きたくさせる曲である

後流れには関係ないが「花いちもんめ」は比較的アルバムの中ではひらけてる曲で
少し昔の曲に抵抗があるんですなんて人にも聞きやすい曲だと思う

一言でいうと変なアルバムだ
インテリな感じもするしアホをさらけ出している感じもする

力任せじゃないから押し付けがましくないけど余裕があるからか
グングンとこちらのテリトリーにも入ってくる

理解することを強制的に求められているような気持ちにもなる
考え過ぎず聞いてくださいでも考える事をやめないで下さいという
難題を投げつけられているような感情にも聞いているとなっていった

どういう回路でこういう作品が出来たのかはわからない
数式があるのだろうけどノリな気もする

音の重なりは間違いなく気持ちよくでもただ単にキャッチーなだけではない
知らないうちにハマってしまってサクッと聴いてしまう
日本人のスウィートスポットを彼らは見つけていたのだろうか

日本語ロックの原点だと言われている彼らだが
日本人にとってロックとは何なのか考えさせられる一枚だった

ただ走り出すわけでもなくただ文句を言うわけでもない
急かさないし落ち着かせすぎない

それが私はとても日本人らしく感じたしロックも感じることが出来た
島国で音楽が発展して行く中できっと独自の変化をなしてきた

そして今グローバルな社会の中で様々なものに影響されて混ざり合って来ている
その中で良し悪しではなく無理をせず無茶をせず
脳みそと心が赴くままに音楽を楽しむことがいかに重要か
この作品を聞いて改めて気付かされた

今この作品がまた新しい扉を開いてくれるはずだ
是非聞いてもらいたい


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046