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漫画「燃えよ剣」で歳三がノサダの刀を手に入れるシーンがはめ込まれているようにしか見えない件

2021年に公開された映画「燃えよ剣」
なんとその漫画も出ていたようで。
個人的に好きな映画の一つなのでその漫画版という事でこれは全巻読もうと決めました。

その一部が今日公式アカウントからXで投稿されており、内容はなんと土方歳三が二代兼定(ノサダ)を手に入れるシーンでした。
尚、現実では歳三の刀はノサダではなく十一代兼定の為、司馬遼太郎原作の「燃えよ剣」はフィクションと思われます)

このシーン、完全に土方歳三が悪い刀をはめ込まれているようにしか見えず面白かったのでなぜそう感じたか書いてみます。


あらすじを大まかにまとめると以下のような感じ。

近藤が虎徹を手に入れたと意気揚々。偽物と思うが触発されて刀を欲しいと感じる歳三。そして沖田から刀好きな人を紹介される


刀好きは斉藤一だった。虎徹に並ぶ名刀が欲しいと相談する歳三。
「そんな時は刀に聞けば良い」と愛刀の鬼神丸国重と語り始める意味不明な齊藤。
ノサダの御告げが聞こえたという意味不明な齊藤。
「ノサダだ」と言われ喜ぶ歳三。
最後に「刀にも意志がある。相応の天命があれば自然と引かれ合う」と付け加える齊藤。


義兄上、姉上から100両貰いノサダを探すが刀屋からことごとく鼻で笑われる歳三


道端で猫に25両も盗まれる歳三。後を追うと怪しい爺さんの元へ。
どうやら古道具屋らしい。「ノサダはあるか?」と聞く歳三。
ニヤリと笑い「ございます」と答える爺さん。
歳三が鑑定出来るのか?と聞くと、「17歳の時に目は見えなくなったが握れば分かる」と訳の分からないことを言い始める爺さん。


「ごらんなされ」と言い出してきたノサダは錆びまくり。5両で良いという爺さん。「なぜそんなに安い?」と聞く歳三。
「この刀はずっと豪家の蔵に眠っていて一度も大名や武家の持ち物になった事が無い。盗賊が蔵から盗み私の所に持って来た」という爺さん。
そして機を図ったかのように決めセリフ。
「この刀は数百年間あなたに会いたがっていたのだろう。5両が不満ならタダでも良い」

ここで斎藤一の「刀にも意志がある。相応の天命があれば自然と引かれ合う」を思い出す歳三。
購入を決定。

ここまでがノサダ購入の話です。
以下から実用の話に移ります。

⑥研ぎ上がったノサダを身に付けるとさっそく刺客から狙われる歳三。
意気揚々と立ち向かう歳三。


⑦鬼滅の刃並みの一太刀で刺客の刀と体を両断する歳三


⑧「ノサダすげぇ。これで京でひと暴れするぜ!」と意気込む歳三


というのがXに投稿されていた漫画「燃えよ剣」でのノサダ購入のあらすじです。
どうでしたでしょうか。
現実世界でこのような話があったら99.9%はめ込みでしょう。
もうそういう手口にしか見えません。

例えばここで言うなら、沖田と斎藤、古道具屋の爺さんがグルで歳三をはめ込んだ、というのが現実世界であり得るパターンです。
特に齊藤の担った役割は大きく「ノサダを買うべき事」「刀にも主人を選ぶ意志がある」という、偶然性を装う布石となる一手をここで打っています。

漫画ではたまたま猫が歳三のお金を盗み、古道具屋へ案内されましたが、まぁ現実世界では齊藤が歳三と散歩、偶然を装い古道具屋へ連れていく展開になるでしょう。
そこで爺さんからあたかも偶然にノサダがあると話を持ち掛けられ、運命だ、刀があなたを選んだ、と歳三をチョイチョイと持ち上げます。

これをはめ込みと言わず何というのでしょう。
似たような話を以前このブログで書きましたが、まぁこの話と似ています。
つまり現実でもこういう事があるのです。

気を付けましょう。
本物のノサダはじめ名刀はそれ相応の金額で初めて買えるもので、偶然安く買えるものではありません。

まぁ漫画だから楽しめるのであって実際に身に降りかかってきたら笑えません…。
尚以下は以前展示させて頂いた正真のノサダです。

二代兼定(ノサダ)の正真作
二代兼定(ノサダ)の正真作
二代兼定(ノサダ)の正真作


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それでは皆様良き刀ライフを!

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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