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美術品として見るか、知的探求心として見るか

刀装具で大銘物(著名工の作)は当然のこととして、古金工などの名もなき金工集団の作で値段的にも比較的入手しやすいジャンルの物であっても、結局のところ状態の良い物や上出来な物はヤフオクには並ばず、コレクターか刀剣店にあるのだなという事も最近分かりました。

確かに拾い物はヤフオクでもでき、数万円で味わいあり研究しがいのありそうな面白い作を手に入れる事は出来るのですが。
例外はあるかもしれませんが、総じてヤフオクなどで買える古金工の鐔は状態が良くない物が多いのです。
例えば表面が磨れて摩耗していたり、櫃孔が生ぶではなく後の時代に拡げられたり、追加で開けられている物であったりなど。
しかしこれらは歴史を色濃く出している部分でもあり、摩耗や追加工が悪いとは思いません。
それはそれで「時代の良さ」なのです。
なのでそうした作も個人的にはとても楽しいのです。

刀や刀装具を美術品として見るか、知的探求心の対象物として見るかによっても変わりそうな気もしますが、美術品として見る場合には「状態」も大事な要素になってきます。
それは「希少性」に繋がるからであり、やはり製作当初の姿形をそのままの状態で残している物ほどやはり数も残っておらず希少です。

刀でも鎌倉期の大銘物の健全な名刀がヤフオクに並ぶことはまず有りません。そうした刀は数も少なく非常に希少で、コレクターが既に持っていたり、刀剣店にあります。
でも研ぎ減っていたり、大きな疵があるけど生ぶ茎で時代の姿を色濃く出している脇物や、偽銘扱いされてしまって鑑定書が付いていない物などは時々出ます。
後者は美術品としては微妙でも、知的探求心の観点から見たら研究しがいがあり面白い品になります。
鑑定書が付いていないから駄目という考えではなく、様々な観点から自分で答えを判断していく事になり、研ぎ減りや疵も歴史を色濃く出している部分でもあるので、そうした部分を楽しみ好んでいる方もいます。
美術品として見た場合はリスクがある分、お店で買うなどに比べて安く買えるのも事実です。

もう一度言いますが、状態良く出来の良い物はヤフオクには並びません。
鐔で言えば以下の様な作はまず並びません。

金も剥がれておらず、魚々子も綺麗に残っています。

ヤフオク品では擦れて金が剥がれていたり、魚々子が磨れて無くなっていたり。
しかしそうしたものであっても同じ時代頃の物であると思われる鐔は比較的安価に沢山並びます。
そういう意味では鑑賞会や勉強会などで名品を見つつ、ヤフオクでは類例を安価に買って作風や経年の表情を観察し知見を溜める、という楽しみ方が良いような気もしてきました。
但し闇雲にヤフオクで自分の感性だけで買ってもやはりくだらない物を買ってしまったりと失敗も多くしてしまい遠回りもしてしまったので、鑑賞会などで名品を見る機会、時間というのはやはり大事にせねばならないと改めて思いました。
1つ1つの時間を大事にしていきたいです。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑

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