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お店の刀を飾らせて頂く【PART3】刀「伊賀守金道」

お店の刀を製作した展示ケースに飾らせて頂く企画第3弾です!(第2弾はこちら
第2弾に続き今回も銀座長州屋さんより展示刀をご提供頂いています。
第3弾は新刀期の名工「初代伊賀守金道」の刀です!

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①初代伊賀守金道について

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金道は父である美濃刀工の陸奥守大道(兼道)の四兄弟の長兄で、父に付き添い京都に出て、1593年に伊賀守を受領します。
特重短刀に大道と堀川国広の合作がありますが、大道が表に銘を切り入れていることから、国広が大道に師事したと考えられています。(差し表に銘を入れる方が師とされる為)
なので金道と國廣は兄弟弟子に当たると言えます。

受領前の作は「金道作」などのように切るようですが、この刀は受領後の銘になるので1593年以降の作。
京では堀川国広率いる堀川派と、この伊賀守金道率いる三品派の二大刀工一派が活躍します。
その三品派の始祖でありリーダーが伊賀守金道です。
一般的に初代金道の作はかなり稀なようです。
因みに三品派はその後も繁栄し続け、なんと幕末まで11代まで続く事になります。


②姿

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まさに慶長新刀の姿です。
南北朝期の太刀を摺り上げたような姿で切先大きめで反りが僅かに付いています。

帽子あたりに若干の使用感を感じるのと、茎部から区に掛けて少しハの字になっていることから超健全というわけではないのですが、新刀とは言え400年近く立っているので比較的健全な部類に入るのだと思われます。
現在は特別保存刀剣に指定されています。

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一方で区は深く残り、銘もとても健全な状態で残っていて鑢目まではっきり目視する事が出来ます。
慶長新刀で鑢目が見えなくなってしまっている刀も多いです。

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③刃文

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まさに覇気という言葉がぴったりの刃文。
完全に沸出来の刀で沸が大きくつき、大きくのたれた刃に互の目を交えていて、明るく冴えています。
志津をイメージして作刀されたものと思われますが、刃や地鉄の様相は之定にも似ている印象を受けます。

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刃中には砂流しが盛んに現れ、刃文間を縦断しています。

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因みに以下は昔拝見した之定。
やはり似ている気がする。。

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④地鉄

かなり肌立っているので肌模様が見やすく特徴が捉えやすいと思います。
先の之定の脇差と似たような肌立ち具合の印象も受けます。
柾がかった所が見られたり、板目流れる所が見られます。
地鉄にかなり黒みが見られる気もします。

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⑤詳細写真と押形

銀座長州屋さんのサイトに詳細な画像と押形が載っていますので紹介します

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(画像出典:銀座長州屋 伊賀守金道

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(画像出典:銀座長州屋 伊賀守金道

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(画像出典:銀座長州屋 伊賀守金道


⑥終わりに

初代伊賀守金道の刀は私自身初めて拝見しとても勉強になりました。
戦の多かった時代の荒々しさというのをまだ何となく残しているような印象を刀から受け、その後の大坂新刀などとは異なる様相であることからも、「刀とは?」という武器としての一面を考えさせてくれるような刀に感じました。
三品派の棟梁の作を拝見出来たのはとても喜ばしい事です。
それにしても堀川国広といい、伊賀守金道といい、初期作に関風の作が多いのは興味深いです。やはり美濃の作風は切れ味がとても良かったのでしょうか。刀への興味は尽きないですね!

という事で今回はこのあたりで。
このコラムですが、ここまで「現代刀→新々刀→新刀」と来たので、次回は古刀を予定しています。
それではまた次回の更新をお楽しみに!

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※注意
こちらの刀は執筆時点においてお店で販売されている刀になります。
ここに書いた内容は個人意見であり刀の購入を勧めるものではありません。刀を買う場合は必ずお店で現物を良く見てご自身で納得された上でご購入されてください。


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!

第1弾と第2弾はこちらからご覧いただけます。

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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