ニッチな刀や刀装具は売りにくい

ニッチな刀や刀装具は売りにくい。
この当たり前のことに本当の意味で気が付くには結構時間が掛かった。
新築みたいに、買った時が最高値である事の多い日本刀や刀装具は大体売る時に下がってしまうのが常だが、中でもニッチな物を高く買ってしまった時は絶望的に下がる事も覚悟した方が良いかもしれない。
例えばなかなか見ない珍しい鐔を20万で買って、この希少さゆえにその価格でも欲しい！と思ってはみたものの、いざ売る時になるとマニアック過ぎてその希少さを分かってくれる人がなかなか見つからない。（嵌め込まれただけだろう。笑、という指摘は置いておいて…）
勿論、世界中を見渡せばそのジャンルを好きな人は間違いなく他にもいるのだが、なかなかそういう人を見つけるのが困難である。

お店は希少性を加味しても、次のお客さんを見つけるのに苦労する品（在庫リスクの高い品）である事を分かっている為に買取額が安くなる。
故に20万円で買った物が3～5万円でしか売れないなどが起こり得る。
ニッチな物はもともと価格も安めなことは多いが、その分売る時に換金性が悪くなりがちなので高額を投入する時は注意であるようにも感じる。

その場合買ったお店で引き取ってもらったり、別のお店で何かを買う時に下取に出すのが一番良い額で引き取ってくれる事が多いが、まぁお店の在庫状況や経営状況にもよるだろうしこれはケースバイケースと思われる。
他にもヤフオクに出したり、フリマサイトを使えばお店を介せずに売る事も出来る。
しかしその場合は良い意味でも悪い意味でも本当の市場価値での価格の取引になるので、やはりその品物を店頭で買っていた場合は大抵お店の利益分下がる事が多い気がする。

一方で人気の刀工や金工の作は求める人も多いので、あるお店では買取額が安くても、別のお店ではほぼ購入時の価格かもしくはそれよりも少し高い値段で売れたという話も聞く。
勿論これはその品を正しい価格で買う事の出来たその人が優れていただけとも言えそうではあり、ニッチな物も同様に正しい価格で買えていれば暴落は避けられるのかもしれないが、買取額の振れ幅でいえばニッチよりはメジャーな物の方が振れ幅に期待できる気もする。
この際、物が「良い物」である事は前提である。

そういえば聞く所によると海外などは特に鑑定書頼みの人が多いと聞く。
鑑定書が付いてないとそれが良いかどうか判断出来ないので、上位ランクの鑑定書の付いたものは高く売れるし、そうでない物は仮に良い物でもなかなか売れないのだそうだ。
刀装具などでは鑑定書が付いてなくても良いと思えるものが多々あるが、売る時を考えれば当たり前ではあるが鑑定書は取っておいた方が良いようである。ただ鑑定費も数万かかるのと、鑑定書発行まで半年近く要すので正直なところ面倒臭い。

とまぁあくまで趣味なので自分の気に入った作品を集めることは前提なのであるが、お金が有限でありこの趣味を続けていく以上いつか手放して他の物を手に入れたいと思う時が必ず訪れる。
買う時は絶対に手放さない！と思っていても熱が急に引いていく物も実際ある。
そんな事を考えているとニッチな物に手を出そうとする時に最近は少し躊躇してしまう。尚ニッチでない物はそもそも値段的に躊躇する。

しかし虚しい事にそんなニッチな物が最近は好きなので、売る時の事は期待せずにお金を捨てる覚悟で買っている現状がある。
しかし今後刀や刀装具の人気が世界的に高まり、欲しがる人が増えれば必然的に手放す時も高く売れるはずである。
どうせ好きな物を集めるなら手放す時も購入時よりも高く売れた方が良いに決まっている。

という事で如何に多くの人に刀や刀装具の魅力を伝えてこの世界の魅力に沼堕ちさせて業界人口を増やすかは私にとっても将来的にきっと有意義なものとなると信じている。
なのでその為にも刀ブログを毎日頑張って書き続けます…！

ニッチな鐔

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それでは皆様良き刀ライフを！

↓この記事を書いてる人（刀箱師　中村圭佑

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。