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日本刀鑑定の全国大会に初参加してきました

日本刀には刀身を見て作者を当てる入札鑑定というゲームがあるのですが、今日はその第3回全国大会でした。
全国大会というと予選を勝ち抜いた強者同士が鎬を削り合うイメージがありますが、私のような初心者でも参加出来ます。
ただ研師などの刀職の方や刀剣商の方なども参加されるので、当然全国から強者が集まる事に変わりはありません。
ですので初心者もプロも入り混じって開催されるシティマラソンのようなイメージが近いでしょうか。(逆に分かりづらい?)

会場は第一ホテル両国。

全国大会の看板が立っていました。

中に入ると、早速案内が。

受付を済ませるとバッジと目録がもらえます。



①入札鑑定振り返り

後半になると入札鑑定会場が混みそうに感じたので先に入札鑑定をする事に。多くても5名位しか並んでおらず比較的直ぐ見る事が出来ました。

結果は…0点でした…。
チーン…orz。

と言う事で振り返りです。

・1号刀 刀 伯耆守正幸(薩摩)

深い反り姿に中切先、相州上工のような地景が入り、刃は小沸出来で匂口が深い。最初古備前や大和物あたりにも見えたが、映りが見られない。そこで相州上工の線を探る。島津家の金無垢二重鎺付き。
姿から鎌倉期の古刀と判断。
地鉄が冴えており、また行光や正宗に見るような地鉄であるように感じた事から正宗に入札し、✕。

・2号刀 太刀 備前三郎国宗

こちらも腰反りの強い姿をしており、杢目などを交えて肌立っている。
地斑映りのような鎬に掛かる位の映りが見て取れる事から、古備前正恒か古伯耆安綱あたりを検討。
綺麗な地斑というよりは細い乱れ映りのようにシャッシャッっとした縦に細く伸びるような映りが見えたので安綱へ入札し、✕。

・3号刀 刀 肥前2代3代合作

反りのあまりない姿で沸出来、地鉄も精美。新刀と判断。
一文字のような丁子を焼いており、刃中には太めの金筋が入るが、映りはぱっと見で見られない。
新刀の一文字と言えば石堂是一、しか思い浮かばず是一と書いて出したが✕。
出した後に鑑賞刀で是一の刀が並んでいたが匂出来で作風が異なっていた。どちらかと言えば多々良長幸などに入れておいた方がまだ近かっただろうか。
結果は肥前の2代3代の合作との事。焼刃の谷に沸が目立つのが特徴らしい。
肥前と聞くと直刃で帯状の匂口を想像してしまいがちでまだまだこの辺り勉強が必要である。

・4号刀 短刀 尻懸則長

南北朝期の寸延びのような姿であるが、重ねはそこまで薄くない。少し先が反っている。
細直刃まではいかないものの、細めの直刃。
棟よりに柾がかった地景が見える。
表には素剣、裏には二本樋の彫がある事から信国を第一に考えてみたが、地鉄が信国よりは精美に見えた。
柾がかった地鉄の存在から大和を検討したが、どうも身幅が少し広めの姿に合うような大和物が思いつかない。大和であれば保昌貞興のようにもう少し細身になりそうなイメージがあったので、大和の線は外し最終的に姿と彫と地鉄の雰囲気から貞宗に入れて✕。

・5号刀 短刀 鍋島藤四郎吉光(名物)

細い造りですすどおしくも見える。
研ぎ減りからなのか肌立ち沸映りのような物も見える。
具の目に刃の沸がこぼれるような箇所が見られた気がした。
最初、位を落として見ていたのだが何度か見ている内に、以前拝見した来国俊に姿や地鉄、刃文が似ている気がしたのでそのように入札し✕。
まさか吉光だったとは…。
粟田口の線は1㎜も考えませんでした。


と言う事で、残念ながら0点でした…。
それにしても1号刀は見事でした。時代を外してしまったのですが、新ためて新刀の素晴らしさに気付けました。清磨会や大刀剣市で見た一平安代しかり、薩摩刀は美しい作が多いですね。
難しかったですが楽しかったです。
因みに天位、地位、人位、皆さん同点で40点?位だったようです。
同点の場合は入札順で順位が決まるそうです。
天位が池永さん、地位が冥賀さん、人位が飯田さんでした。
祝賀会の中で答えに至る導き出し方などを聞いたのですが、もう見えている世界がまるで違う。
ちゃんとロジック立てて導いているので凄いの一言。
因みに入札用紙は返ってきませんでしたので、自分自身の用紙は撮影出来ていません。


②鑑賞刀について

鑑賞刀は2エリアに分かれていました。
第1会場では古刀が56振り、第2会場では新刀~現代刀がメインで50振近く。
1列に並び、1分で次の刀へ移動という形だったので、会場に入ると1時間刀を連続で見る事になります。
これが相当辛い。
名刀ばかりで興奮するのですが、いかんせん頭と腕がパンパンに。
特に最初は鎌倉時代の太刀なので良いですが、最後辛くなってきたあたりに南北朝の豪壮な物が出て来るので持つのが辛い。
新刀~現代刀エリアは最初から重く、時々異次元に重い刀も出てくる。
目まぐるしく刀が変わったので正直あまり頭に入っていません。
最後の方に古刀会場の最初の10振位だけを重点的に見てまわりました。

ちなみに重要美術品や特別重要刀剣のオンパレードでした。
無冠の物も素晴らしい出来です。
鑑賞刀の一部↓

新刀も名刀ばかり

不特定多数の方が参加されるので、鑑賞ルールも明確に決まっていました。
加えて係の方による説明もあり、徹底した運営がされていました。


③終わりに

と言う事で祝賀会も合わせると12時から20時まで8時間の長丁場になりました。
久々に疲労困憊ですが、本当に楽しかったです。
参加された皆さんお疲れさまでした!
祝賀会でも普段あまり話す事の無い方ともお話が出来て、非常に有意義な時間となりました。
さて、軽く夜の刀鑑賞をして今日は早く寝る事にします。
尚明日も9~14時まで鑑賞会があるようです。私は家の用事で行けませんが、行かれる方引き続き楽しまれてください!

第二会場(25階)からの景色


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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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