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丸櫃孔の鐔②

以前紹介した以下の丸櫃孔を有した鐔について、微かに見える鞘当たりの跡から付いていた拵の大きさを想像してみる。

多少のずれもあるかもしれないが、光に当てながら鞘当たりの部分に赤線を入れてみると、縦41mm、横25mm程になる。
上下方向かなり刀身と近く鞘が割れてしまいそうにも見えるので実際はもう少し分厚いかもしれないがかなりギリギリのラインを攻めている印象を受ける。

裏面の方が分かりやすいかもしれない。

これがどの程度の大きさか分かりにくいので、江戸中期頃の2尺3寸の刀身が入っている半太刀拵の鞘寸法を見てみる。(白鞘は拵と違い刀身に対して厚く作られている事が多いので比較しづらいと考え比較対象から外した)

すると縦40mm、横23mmであり、意外にも近しい寸法である事が分かったが、刀身の上下方向の厚みはもう少し余裕が見て取れる。
尚この拵に付属している太刀鐔を見ると、切羽台の大きさは縦38mm、横22mm、であり、鞘寸法より1~2mmほど小さく作られている事がわかる。


次にこの太刀鐔と並べてみる。

どう見ても右の方の切羽台がほぼ同じ大きさには見えないので切羽台の両端を赤線で結び、茎孔両端を黄色線で結んでみたのが以下である。
するとやはり意外にも切羽台の大きさが近しい事が分かる。

それにしてもやはり右の鐔の茎孔はやたらと大きい。
3.5~4尺近い大太刀が掛けられていた可能性もありそうである。

江戸期頃の打刀用の鐔と並べてみても茎孔の大きさが際立つ。

この右の鐔は厚みも2㎜程と薄く、個人的には南北朝~室町に掛けての鐔ではないかと勘繰っているのですが、だとしたらやはり当時の拵は相当に薄く作られていそうな事が分かります。
とはいえ、最初の以下の赤線の見立てが間違っていれば全てお門違いの考察になってしまうので今回の話は話半分で見て頂ければと思います。

現実的な拵の厚みで赤線を引くと以下位になりそうな気もします。

美術館などで拵の展示を見ても普通は以下のような鯉口部は見る事が出来ないので、古い拵がどのような厚みで作られているのか見えないのが残念な所です。
個人蔵の拵など拝見出来る機会がもしあれば、この辺りの鞘の厚みも良く比較してみたいと考えています。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

丸い櫃孔が何に使われていたのか、などについては以下にまとめています。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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