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サムライアート展③ 刀装・甲冑など

今回でサムライアート展のレポは最後です。(①はこちら、②はこちら
③では刀装具関係や甲冑など気になった物をいくつか。



①刀装

・竜拵(号笛吹龍)

自在置物の技術を駆使して立体的な龍が巻き付いた拵。
個人的にもこの拵を見に行く事が今回の目的であったため、こちらに別途詳細をまとめています。故にここでは省略。


・草花鶏蒔絵芝山象嵌拵

如何にも明治時代という時代を表したような技巧溢れる拵。
貝(蝶貝、夜光貝、あわびなど)を始め珊瑚やべっ甲、象牙など様々な材質を象嵌して散りばめた華やかな明治輸出工芸であるが、この細工を芝山というらしい。分かりやすい凄さがある。
そういえばこの時代の大きめな鐔で芝山象嵌の技術を用いたものを何度か見た事がある気がする。


・近景(重文)に付帯の打刀拵

青い柄糸と蒔絵を施したような特徴的な鐔が印象的だった拵。
鞘の状態はあまり見ておらず分からないが、柄部は鮫革や柄糸など比較的新しい印象を受けた。
思い返してみると柄に青を用いた刀というのは見てこなかった気がする。
そういう意味でも変わった拵に感じるが当時の所有者の趣向によるものだろうか。

それにしても蒔絵を施した鐔というのは個人的に初めてたが、非常に煌びやかで拵を引き立てていた。
造り込みから何となく明治以降の作に感じた次第だがどうだろうか。

縁には紋が外れてしまったと思われる箇所が見られたが、なるほどこのようにして紋を別パーツで作り埋め込んでいたのかと勉強になる。


・虎徹(四ツ胴)に付帯の鐔

素銅地に波を立体的に高彫で表現した鐔が付帯している。
このような作風は大森英秀などが制作しているような気がするが、そのあたりの金工によるものだろうか。
縁に経年の為か緑青がかかりそれがまた良い味わいを出している。


②甲冑

・小札紫糸威白糸腰裾取胴丸具足(島津家伝来推定)

桃山~江戸時代初期の製作とされる島津家の家紋が入った具足。
400年前とは思えないほど状態が良く金具も細部まで作り込まれている。


・白糸裾萌葱紺威鎧(島津斉彬所用)

一方で島津家当主、島津斉彬所用の具足(江戸時代後期)も展示されていたので見てみると、こちらにはなんと島津家の家紋である「丸に十字」が全く入っていない。

甲冑について無知であるのでこれが甲冑の用途や種類によってなのか、それとも時代によってなのかというのが一切分からないが、島津家は以下の刀装具を見てからというものの何となく家紋を全面に押し出す印象が個人的に強くあったので意外でもあり興味深い。(尚、他の太刀拵などは他の大名家と同程度の家紋の入れようで大差はない気がする)

島津家売り立て目録より


・兜

他にも様々な意匠を凝らした兜なども多数展示されていた。

しゃちほこがモチーフ(江戸時代中期)
貝をモチーフ(桃山~江戸時代前期)

こうした変わり兜も面白いが個人的には以下のような兜が好み…というよりよく見ると六文銭が!
ということは真田家ゆかりのものでしょうか。熱い…熱すぎる…!

早乙女家親(桃山~江戸時代前期)

他にも面頬なども。

江戸時代中期

兜もまた様々なデザインがあり、如何に個性を出し目立つか、という部分について思考を巡らせていた様子が伺えて面白い。

1つ確かなのはこうした甲冑をまとった鎧武者が実際の戦場で目の前に突如現れたとしたら、迫力に圧倒されて必ずこうなると思うことでしょうか。

これは川中島の合戦を描いたもの(明治43年)というが、こうした今にも動き出しそうなタッチの屏風も普段見る屏風とはまた異なり面白く、つい見入ってしまう。


③終わりに

ここ2年ほど刀装具に興味を持つようになってから甲冑や茶器、仏像など少しづつ横方向の文化にも興味が出てきた気がするが、その為か以前よりも刀以外の展示も楽しめるようになってきた気がする。
もしくは楽しめるように美術館側が工夫してくれているお陰かもしれない。
いずれにしても「武士」という1つの文化を広い視点で捉えられる本企画展は非常に面白かった。

展示を見終わった後は物販へいき図録を購入。

写真のすぐ近くに解説が載っているので、よくあるような後ろの解説ページと写真ページをいったりきたりする必要がなく見やすかったです。


サムライアート展は2024/12/22まで東京富士美術館にて行われています。
あと少しの開催ではありますが、東京からは電車で1時間位で行く事が出来ますので悩まれている方はぜひ行かれてみては如何でしょうか。

画像出典:サムライアート展


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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