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初期刀を購入するまでにどのくらい勉強すべきなのか

最初の刀を買う前にまずは良く勉強した方が良い、知識を付けてから買うべき、とはよく聞く話です。
騙されて変な物を掴ませられたりと痛い目を見ないように、という老婆心からこのような事が言われるのだと思います。
以前、1年間は勉強に徹して刀はその後に買いなさい、と明言している所もある事を聞きました。

さて実際にはどの位勉強してから買うのが良いのでしょう?
勿論人それぞれで正解は無いのですが、個人的には期間よりも、「良い刀」を30振程手に取ってじっくり見れたら買い時なのではないかと思います。
(「良い刀」とは健全で出来の良い刀の事をここでは指していますが、といってもそれが最初から見極められたら苦労しませんので、取りあえず分かり易い指標として重要刀剣以上とでもしましょう。勿論特保にも良い刀はありますし、重要刀剣でも状態や出来が微妙な物、ヤバイ工作のされた刀があるので一概に重要刀剣以上とは言えないのですが、重要刀剣は概ね出来も状態も良い物が多いです。理想を言えば出来や状態の傑出した特重や重美ですがこれは拝見する事自体もハードルが高いです)

重要刀剣以上は鑑賞会や鑑定会、刀屋さんなどでも何度か通う中で仲良くなれば見せて頂けると思います。見せても大丈夫な人だと判断されればその日に見せて頂ける所もあるでしょう。
鑑賞会などでは重要刀剣以上の刀が1日にまとめて5振以上並ぶことがありますし(東京都支部の鑑賞会に参加すると10振近く並ぶ時もあります)、刀屋さんでも立て続けに5振以上見せて頂ける事もあるかもしれません。
そう考えると意外に30振という数はそこまで多くありません。

環境に恵まれた方であれば1ヶ月程で達成される方もいるかもしれません。
そういう方は1年も待たずに買ってしまっても変な刀は掴みにくいような気もします。とは言え購入するとなると金額の問題もあるので、どこかで妥協する事になる可能性は高いかとは思いますが、その刀の状態や出来がどの位のものなのかは何となく分かるようになっているはずです。

一方で1年間買わないと決めていても、その間に刀の実物を見ず本だけ読んでいたら結局頭でっかちになるだけで「良い刀」の概念が分からないままです。そうした状態で買うのは個人的にはまだ早いと感じます。
なので期限よりも良い刀を如何に多く見るかの方が大事に思うのです。

そして刀は買って手元に置く事で学べる事分かる事が想像以上に多いです。
借りた刀を月に数回数時間だけ鑑賞した場合と、実際に身銭を切って買い時間がある時に鑑賞する場合では後者の方が得られる事は多いかと思います。
その為、信頼出来そうなお店や人が見つかったら、その人を信用して買ってしまうという手もありかもしれません。
結局30振名刀を見た所で分からない事はまだまだ多く、多かれ少なかれ第3者の意見を参考にする事になります。
しかし悪い人を信じてしまうと騙されてしまう場合もあるのでよくよく見る人を見誤らないようにご注意下さい。

尚、最初の1振はよくも悪くも基準になり、今後の刀選びの指標にもなるので特に大事です。
つい欲しい気持ちが先行して早く買いたくなってしまう方もいると思うのですが、後で後悔しない為にも取りあえず何でも良いから刀の形をしたものを1振買ってみよう精神は躓きやすいかもしれません。
まぁしかし失敗の程度の大きさはあれ、失敗してもそれはそれで学べる事はあり同じミスは踏まなくなりますし、何より一振り買うと刀の面白さにどっぷりと浸かれたりするので早く買う事が一概に悪い事だとも思いません。

「私は買う前に一切勉強しなかったけど、研ぎ減っていても疵が付いていてもこの刀が好きだから良い。」

それはその通りで愛刀家なら少なからず皆そう感じている事でしょう。
どうせならそれにプラスしてその刀が今現在どういった状態なのかを適切に知れたり、元はどういった形だったのかなど想像できて買った方が愛刀の事でギャップを感じずにより好きになれそうだなぁと、そしてそれは良い刀を30振位見ると何となく分かってくるような気がします、という事を書いているつもりです。纏まりのない文章になってしまいましたが。

あくまで私の個人的な意見です。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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