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刀について知るほど「光忠見せて」が言えなくなる現象

もう数年前に聞いた噂程度の話、どこまで事実であるか分からないですが、刀剣ブームに合わせて若い女性と思われる声の人から刀剣店に「五条国永」ありますか?と電話があったり、ふらっとお店に「光忠ありますか?」と訪ねてきたりした事があったという話を聞いた事があります。
私も私でまだ刀を持っていない時、それこそ刀の相場観というのが一切なく、刀工は正宗、村正、虎徹しか知らない時に、たまたま刀剣店のHPに参考品と書かれた正宗があるのを見つけて、値段を問い合わせた事があります。
勿論お店に面識があるわけではなく、ファーストコンタクト。
因みに当時は参考品の意味すら分かっていませんでした。
そして「既にお店に在庫がない」という回答が。

冒頭の五条国永の人と光忠の人は分かりませんが、今正宗を問い合わせた当時の事を思い返してみると私自身無知ゆえの初心者無敵パワーというのが結構あった気がしていまして。
今は馴染みのお店であってもそれらの刀を見せてほしいとは恐れ多くてなかなか言い出せません。
勿論見たい気持ちはあるのですが、そのクラスの物となるとなかなか声に出して言う事が出来ないのです。
正真物であれば恐らく例外なく大名刀であるが故なのですが…。
下世話な話かもしれませんが、価格でいっても4000万円以上はするでしょう。あくまで価格が付くならの話であって、このクラスは売り物でない物も多いです。
そして五条国永や光忠については在銘の現存数も少数で限られているので、その内の1振を仮に手に取れたなんて事になるともうその時は自分の中で「その時歴史が動いた」的な状態になるわけです。

そんな話で盛り上がっていた所、あるお店の方がそういう若い方が展示会で「光忠見せて欲しい」と来た時があったので「いいですよ」と言って見せてあげたという話を聞きました。
同業者の方はよく初めての人に見せたね、と驚かれていたようですがそのお店の方曰く、折角若い人が刀に興味を持ってくれてわざわざブースにまで来てくれたんだから、とのこと。
…な、なんと羨ましい。。

このエピソードを聞いて、欲求を素直に伝えてみる事も時には大事、と感じました。
勿論駄目な時はやんわり断られると思いますが、それだけと言えばそれだけで、もし手に取る事が出来たならそれはかけがえのない経験になります。

とはいえ、とはいえ…やはり口に出すのは相当勇気がいる…。
というより、やはり言えそうもない。。。
…私だけでしょうか。。
皆さんは見たい刀がある場合、単刀直入にズバズバと聞けますか?
私はかなり遠慮してしまいがちなので、ズバズバ言える方を羨ましく思います。

無銘光忠(重要文化財)東京国立博物館蔵


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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