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刀工について

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2022年1月の記事一覧

明治金工師の筆頭「加納夏雄」

明治金工師の筆頭「加納夏雄」

明治の金工として一番有名なのが加納夏雄かもしれません。
明治の超絶技巧の1人として称されています。
今日はそんな加納夏雄について紹介します。

・加納夏雄はどんな人?1828年~1898年の金工師で幕末から明治にかけて活動しました。
明治時代の金工作は超絶技巧と称され、素晴らしい作が沢山ありますが、その中でも加納夏雄の作は筆頭に挙げられます。

7歳で刀剣商の養子になり鐔などの刀装具の美しさに魅入

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埋忠鐔を見て

埋忠鐔を見て

桃山三名工として知られる信家、金家、埋忠明寿。
その埋忠明寿の作の中に、埋忠真鍮と呼ばれる黄色みがかった茶色っぽい真鍮に、墨絵のようなデザインが施された、まるで焼き物のような鐔がある。
墨絵の部分は赤銅で表現されているので、簡単に取れる事はなく、実の部分には象嵌なども施されて写真では伝わらない味わい深さを感じる。

以前ずばり明寿の作ではありませんが、埋忠銘の似たような鐔を拝見させて頂いた事があり

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光忠と守家が非常に似てる件

光忠と守家が非常に似てる件

光忠といえば鎌倉中期に備前で活躍した刀工で、長船派の始祖であり黄金時代の備前伝を代表する超有名刀工。

守家は少しマイナーかもしれないが、同じく備前の刀工で畠田派の祖。
(畠田派といえば守家以外に真守や家助あたりが有名でしょうか)
福岡一文字守近の孫とされ、備前国畠田村に住んだ為、畠田守家と呼ばれています。二代あると言われているようですが、初代守家は光忠と交流があったようで作風も似ているのだとか。

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名刀正宗の美

名刀正宗の美

鑑賞会や刀屋さんなどで正宗の刀を何度か手に取り拝見させて頂いたことがある。
美しい!とすぐさま感動する正宗もあれば、なんだこれ?と言葉に上手く表せない感想を抱く正宗もあり、なかなかに面白い。
ぱっと見で美しいと思える分かりやすい作は個人的には古備前風のものであるが、個人的に面白く奥深いと感じたのは他の刀工に例えようがない「なんだこれ?」という作。
この両者の作が同じ正宗に極まっている理由というのは

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正宗の「剣」はなぜ存在しないのか?

正宗の「剣」はなぜ存在しないのか?

日本の剣と言えば他国とは違い、実戦で使うものではなく仏教の器として使用されたもので、武士の持ち物ではなく僧侶の持ち物として存在していたといいます。
現在にも名工の作が多く残っている事からも刀同様に大切に残されてきた事は言うまでもありません。

しかしここで一つ疑問が。
それは正宗をはじめ相州伝の剣を見た事が無い、という事。

剣で残っている作と言えば、山城であれば、五条国永や粟田口(吉光とか国吉)

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粟田口6兄弟

粟田口6兄弟

粟田口と言えば名刀の代名詞ですが、粟田口は国家を租としてその下にいる6人の兄弟がいたとされています。
それが国友、久国、国安、国清、有国、国綱の6人で鎌倉前期に活躍したとされる刀工です。
更に国友の下には則国がいて、その下には国吉、国光、国延、吉光、正光がいるなど粟田口派の中に似たような名前の刀工が沢山いてよく分からないのが正直な感想ですが、取りあえず今回は6兄弟について触れてみます。
粟田口と言

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