尺八を薪にする?!
寒くなってきましたね。火鉢なんかあったら最高です。
そんな火鉢にあたっているお侍さんが描かれた見出し画像は、奥村政信画『尺八鉢の木』
(Legion of Honor蔵)
鉢木(はちのき)は、能の一曲。
どうやらパロディの絵のようです。
まずは「鉢木」のあらすじを…
ある大雪の夜、上野国(こうずけのくに・今の群馬県)佐野荘のあばら家に一人の旅僧が宿をもとめてきました。
家にいた婦人は、主人が留守だったため断りますが、帰ってきた主人がその話を聞くと、旅僧を追いかけ呼び戻しました。
主人は、いろりの薪がなくなると秘蔵の鉢植の梅・松・桜を囲炉裏にくべてもてなしたそうです。
旅僧が主人の素性をたずねると、もとは佐野荘の領主だった佐野源左衛門尉常世と名乗ります。
そして、「一族に土地を奪われ、今はこのように落ちぶれているが、「いざ鎌倉!というときには、一番に鎌倉に馳せ参じ忠勤を励む所存である」と語ります。
翌朝、旅僧は主人に礼を述べて家を辞します。
それからしばらくして、鎌倉からの動員令が諸国の武士に下されました。
常世もその噂を耳にし、破れた具足をつけ、錆びた長刀を持ち、やせ馬にまたがって「いざ鎌倉!」と馳せ参じました。
みすぼらしい姿に集まった人々の嘲笑を買う中、幕府の役人から呼び出しを受けます。
みっともない格好を叱責されるのかと思いながら、おそるおそる前に進み顔をあげると、そこにはあの大雪の夜の旅僧の顔がありました。
その旅僧こそ前の執権北条時頼でした。
時頼は一宿一飯の恩義を受けた礼を述べ、あの夜の話のとおりに馳せ参じたことをほめたたえ、佐野荘の安堵を約束しました。
その上、常世が時頼のために薪として使った鉢の木にちなんで、上野国松井田荘、越中国桜井荘、加賀国梅田荘を常世に与えたといいます。
参考
https://www.yoritomo-japan.com/jinbutu/tokiyori-densetu.h
確かに、火鉢は欠けているし、家主の衣服は継ぎがあたっていてお金持ちではなさそうですね。
拡大して見てみますと、
何と!家主が尺八を鉈のような刃物で割ろうとしている!勿体ない!
(それを支える左手の位置がちょっと怖い😱)
あと、穴が表に六つもある!ちょっと多すぎ。
もう一つ拡大して見てみますと、
床には菱川筆の絵が飾られており、「そこねたり共菱川遊女ゑ」とあります。
左下には「はけたり共けん好か一ツいんろう」とあり、印籠が壁にかかっています。
右下には「やれたれ共なり平八丈之羽織」とあり、脱いだ羽織が床の間に置かれています。これらのものは好色にふさわしいものだとのこと。
鉢木の話は、たずねてくるのは旅僧ですが、この画では、訪ねてきたのは若衆(北条時頼にあたる)。
外は雪が積もっていますが、お抹茶など立てていて優雅な感じです。
が、隣で家主が鉈で尺八割ってる…、
(この家主は、優隠者、佐野常世にあたる)
そりゃよく乾いてるからよく燃えますね。いい炭になりそうです😭
この「尺八鉢の木」と同じ趣向の絵が、春信の作品にもあるそうですよ。
ちょっと珍しい奥村政信画『尺八鉢の木』でした〜😊
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