【お題企画・私の勝負曲】SEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOT

勝負曲というと、やはり俺は山根麻衣の『SEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOT』である。作曲は菅野よう子で、マクロス、アクエリオン、∀ガンダム、攻殻機動隊など、観たことなくても名前くらいはきいたことくらいあるであろうアニメの音楽を手掛けている人物だ。有名どころで言うと、『カウボーイビバップ』のオープニング曲である『Tank!』なんかはよくテレビ番組のBGMとしても使われるので、一度は聴いたことがあると思う。
SEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOTに関してピンと来ない人もいるかもしれないので説明すると、これもアニメ『カウボーイビバップ』の最終回に流れた挿入歌で、エンディングの『THE REAL FOLK BLUES』の別バージョンだ。最終回に主人公のスパイクが、因縁の相手率いるマフィアのアジトに一人で殴り込みに行く際に流れる。こうなってくると俺の勝負曲というか、カウボーイビバップのスパイクの勝負曲だが、そこはまあ、いいじゃん、拝借したって。とにかく、このカウボーイビバップというアニメの最終回は、俺調べではアニメ史上最もカッコいい、クールな最終回なのだ。そしてそのカッコいい最終回になるために一役も二役も買っているのが、このSEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOTという曲なのだ。

どのへんが勝負曲かというと、車に乗る時にほぼ確実に俺の脳内で流れる。車に乗る時になにが勝負なんだよ？　と思われるかもしれないが、俺は仕事は家でやってるし、休日もマジで家から出ない人間であるからして、恐ろしい世間に一歩踏み出すことはもう勝負なのだ。エンジンをかけて、サイドブレーキを外して、ギアを入れて、アクセルを踏んで車庫を出る、この一連の流れで俺の脳内にSEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOTのイントロが流れる。これはもうほぼ確実に流れる。気分は高速戦闘機である、ソードフィッシュⅡである（主人公スパイクの愛機でレーザーキャノンが撃てる）。時によると、気分が乗って「死にに行くわけじゃない、俺が本当に生きてるかどうか、確かめに行くんだ」などスパイクのセリフを呟くこともある。そして、俺は煙草を買いにコンビニに行くか、本屋に行くか、スーパーにお買い物に行くわけである。
相当イタイが、これはアホな男の性であり、俺の精神は永遠に中学生なわけだ。二十代半ばにして、いまだに電気のヒモでボクシングはするわ、思いきり振るといい音が鳴る棒があれば嬉々として振り回すわ、もうここまでくると中学生というか小学生だが、まあ、そんなやつなら車に乗る時にカウボーイビバップの妄想してカッコつけててもなんら不思議はないだろう。

SEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOT（THE REAL FOLK BLUESも同様に）のどこがいいって、まずイントロからしてめちゃくちゃカッコいい。このお題企画を書くにあたって俺が勝手に定めた勝負曲の定義からすると、一にも二にもイントロがカッコよくなくてはならない。Survivorの『Eye of the Tiger』然り、平沢進の『Forces』『灰よ』然り、イントロからして、来た来た来た！　とテンション上がるような曲が、俺の中の勝負曲の定義だ。その点、SEE YOU SPACE COWBOYS NOT FINAL MIX MOUNTAIN ROOTは、車を車庫から発進させるには最高の曲である。家の門を出て、道路を走る頃には、ジュリアを抱いている記憶だとか、元相棒で現在の宿敵のビシャスと背中合わせになっている記憶だとか、セピア調でフラッシュバックされる。もう完全にカウボーイビバップを知らないと意味わからん話になってきたが、観たことある人はうなずいてくれると信じている。
かなり脇道にそれる話だが、ロボットアニメやSFアニメみたいなのはセル画の方がいいと思うのは俺だけだろうか。デジタル作画でCGも駆使できる今の方が質の高い映像のような気がするのだが、綺麗すぎるのか、単に俺が懐古野郎なだけなのか、俺はロボットアニメとSFアニメに関してはセル画が好きだ。マジで関係ない話だが、もう次で締めに入るので我慢してもらいたい。

最後に、勝負曲から発展させて、「勝負後曲」というのも俺にはあるので発表させてほしい。空恐ろしい世間に出て、コンビニで煙草を買った俺は勝負を終えたと言っても過言ではない。そんな時、俺は静止画になる。言ってる意味がわからないだろうが、とにかく静止画になる。煙草をポケットに入れて、そのついでに両手をポケットに入れて、コンビニの自動ドアから出る。その時、俺は静止画になり、脳内でTM NETWORKの『Get Wild』のイントロが流れるわけだ。その時の気分によっては、同じくTM NETWORKの『STILL LOVE HER（失われた風景）』だったり、岡村靖幸の『SUPER GIRL』だったりする。俺の横に香はいないが、勝負を終えた後の曲というのはこれらに限る。俺調べにおいてカウボーイビバップをアニメ史上最もカッコいい最終回とするなら、俺調べにおいてアニメ史上最もカッコいいエンディング入りは『シティーハンター』と『シティーハンター２』なのである。