長文タイトルの話 続き 青年漫画バージョン

前回の記事はこちら。

この記事では、少年漫画の『デスノート』から、いかに自作の着想を得たのかを書いた。

ついでに、2篇の少年漫画のヒット作を、ウェブ小説のような長文タイトルにしてみた。

というのも、その自作はウェブ小説投稿サイトに投下していたからである。

投下していたのはカクヨムで、キャッチコピーは付けたが、長文タイトルにはしなかった。

で、今回もその長文タイトルの話である。

以前、感想記事を書いた『魔女と野獣』だが、青年漫画である故か、少年漫画よりはログライン型の長文タイトルに収めにくい。

やってできないことはないのだが、いろいろと作品の重要な要素の取りこぼしがある。

一言で明確に特徴を言い難い。

あえて言うなら『魔女に呪いを掛けられ力を奪われた主人公が 復讐のため相棒と共に魔女事件を追うダークファンタジー』であるが。

これだと単純に魔女が悪者であるかのようだが、実際には、そんなに簡単な物語ではない。

魔女は悪者とは限らないし、復讐にしても、明快に肯定も否定もされない。

ちなみに少年漫画『鬼滅の刃』なら、『家族を殺され妹を鬼にされた少年が 鬼殺隊に入隊して鬼たちと死闘を繰り広げる物語』となる。

もちろん「鬼滅は、それだけの話ではないよ」と言いたいファンも多いだろうが、一番重要な要素の取りこぼしは、たぶん無いと思う。

一番重要な要素とは、一番その作品を、他と違う特徴的な物にしている要素である。

『魔女と野獣』の場合は、一番作品を特徴的にしている要素に、取りこぼしができてしまうのですな。

要するに、簡単には答えを出せない物語であるのこそが特質なのに、ログライン型の長文タイトルだと、簡単に説明し切らないと駄目なので。

だからこそ『魔女と野獣』という元々の短いタイトルがベストなのである。

まあ、漫画アプリを見ると、あたかも単純な復讐物語であるかのようなキャッチコピーが付いていたので、あまり気にしなくてもいいのかも知れないが。

同じく青年漫画で。全くジャンルが違うがグルメ漫画の『美味しんぼ』をやってみよう。

『究極のメニューVS至高のメニュー 実の父親との確執を持つ主人公が グルメ対決により真の美食に迫る物語』

これは間違いではないが、『美味しんぼ』は、実はそれだけの話ではないんですよな。究極のメニューと至高のメニューの対決以外にも、主人公の山岡士郎が解決する問題のバリエーションはある。

で、案外そのグルメ対決にならないエピソードもまた、『美味しんぼ』を特徴付ける重要な要素となっている、と思う。

それは作品世界の幅広さであるし、主人公の山岡士郎も、万年反抗期のぐうたら人間である『だけ』ではないと示しているのである。

ま、前回の記事は『デスノート』と『ブルーロック』のログライン型の長文タイトルを作ってみたが、やはり「これだって取りこぼしはある!」と言いたい方も多かろう。

特に『デスノート』、月(キラ)を中心に語るのでなく、反キラ側にも焦点を当てるべきなんじゃないかとか。

それでは、やってみよう。

『名前を書くだけで人を殺せるノート、デスノートにより世界征服を企む『キラ』と、それを阻止しようとする者たちの生死を掛けた頭脳戦』

こんなのでもいいかな?

取りこぼしは少なくなったがインパクトは減った気がする。

インパクト勝負で長文タイトル(というか、実質はキャッチコピーである)を作ると、作品内容の取りこぼしができる。

取りこぼしが少なくなると、インパクトに欠けやすい。

で、インパクト重視で作った場合の取りこぼしは、少年漫画よりも青年漫画のほうが大きい。

だいたい、そんな感じだと思う。

同じ理由で、自分のオリジナル小説をウェブ小説投稿サイトに出していた時、なかなか長文タイトルもキャッチコピーも作れなかったのである。

まあ、そんなわけで。今回はここまで。

読んでくださってありがとうございました。また次回の記事もよろしくお願いします。

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