『真夜中ハートチューン』先週号と今週号の感想

現在、コミック3巻まで出ている少年向けラブコメである。週刊少年マガジンに連載中で、先週号では巻頭カラーだった。

これは私の勘だが、いずれアニメ化もするだろうと思う。

高校生の四人のヒロインがいて、それぞれが大切な夢を持っている。声優や歌手になりたいといった夢だ。

同じ学校の主人公視点では、彼女たちは自分の夢に向かって努力するのが第一で、自分への好意は二の次、優先順位低めに見えている。

ヒロインたちは互いに仲が良く、時として主人公よりもヒロイン同士の関係を優先することもある。

主人公は四人のヒロインたちの夢を応援し、いろいろ助力をする。主人公は、感謝されれば当然に嬉しくは思うが、あからさまに見返りを求めることはない。

それは表面的な態度に出ないだけではなく、内側の心理でも、そうなのである。

今週号では、歌手になるのを夢見るヒロインの一人のために、野外ライブの場所として、ある大きな公園での場所取りを手配する。

これまでも何人もの有名な歌手が、その公園でのライブから成功をつかんでいったという場所で、それをヒロインは主人公から説明されるまでは知らなかった。

ヒロインは、過去に路上ライブをした時の、通行人の冷たい視線を思い出し、そのトラウマで思うように歌えない。

主人公はヒロインの緊張を解くためにいろいろ工夫をする。

ヒロインは、最後にはトラウマを克服し、堂々と歌えるようになる。その歌声が公園にいる人々の耳に届き始める。

主人公はそれを見て嬉しくは思うが、決して決して、自分の手柄顔はしない。

ただ、ヒロインの様子を見て心から「よくやったな」という風に思うのである。

このままライブは成功するだろう、と主人公がほぼ確信したところで、誰か気になる人物が現れて、で次号へ。 

いやあ、かなり好感の持てる主人公だな!

ちなみに極めて能動的な主人公なのだが、バトル物やスポーツ物ではないので、能動性の出し方はマイルドである。

と、まあこれは、ヒロインを支える主人公視点から見たストーリーだが、ヒロイン視点では、また別なストーリーとして見ることができる。

簡単に言えば、あらゆる表現者、小説や漫画を描くクリエイターと呼ばれる人々も含めて、そうした人々にとって、いろいろと示唆に富む内容が描かれていると思う。

過去の失敗のトラウマを乗り越えること、不特定多数に受け入れられるのを望むのではなく、本当に伝えたい一人にまずは届くようにすること、などである。

で、その一人に届けば、結果として多くの人にも届くようになる。そんなテーマが描かれていた。

あるベテランのライトノベル作家が言われるには「最近の小説や漫画は、重層的な作りになっている」とのこと。

このラブコメも、四人の美少女ヒロインと仲良くして感謝される主人公の視点だけでなく、それぞれの夢を追うヒロインの視点からも読むことができるようになっていると思う。

そうして見てみると、また別の見方になるのだ。

それでは今回はここまで。

読んでくださってありがとうございました。また次回の記事もよろしくお願いします。

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