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感謝のかたち

就活内でビジネスマナーに改めて触れて、正直なところ面倒くさいなと思うことが多い。だけど、それで敬意を示すことが出来るのであれば喜んで行うくらいの気概はまだ残っているつもりである。

先週の水曜、僕は求人が出ている施設へ見学へ行った。
その日はとても暑い日で、それでも長袖のジャケットを羽織ることに違和感を多分に覚えつつ、汗水を滝のように垂らしつつ、施設へ向かう。
見学は自分以外にもうひとり就活生が同じように見学に来ていた。
見学自体は、なんの問題もなく終わったが、近頃とても変な気分がしていたことがその就活生を客観視してみてはっきりと分かった。

「この人は就活を成功させるために礼儀正しくしているのだろうか。」

それは僕にも完全に当てはまる。間違いではないしそれも正しいと思う。
けど、一方で僕のねじ曲がった良心は、それはとても打算的で嫌らしい考えであると訴える。

「採用されようとされまいと、見学を調整してくれたことに感謝することがまず始めではないのか。」

もっとナチュラルに打算的な意識をせず敬意を示したい。そう思った。
それをするには日頃から感謝の気持ちとか気配りは思うだけでなく、躊躇なく行動に移すことが必要な気がしていた、その日の夕食時にとても印象的なことが起こった。

現在僕は、今は住んでいないけれど、かつて住んでいた遠方にて就活をしている。
その日も昔よく足を運んでいた、うどん屋さんに行き、メニューを見て変わらぬ品々に懐かしんでいた。すると、別の女性のお客さんが持ち帰りの注文を僕より早く行った。僕もそれに続いて注文をする。
当然、先に注文した持ち帰りのお客さんへの商品が先に出てきて、僕は急いでいたわけでもないので(むしろ暇を持て余していたので)漫画を読んで店の雰囲気をこれまた懐かしんでいた。
突然、「すみません」という女性の声が横から聞こえた。
一瞬自分に言われた事ではないのではないかと、無視しそうになるが明らかに自分に言われたような気がしたので振り返ると、

「先に注文しちゃって、すみませんでした。」

正直に言うと、一瞬本当に何を言っているかわからなかったので、変な間が空いたがすぐに我に返って

「いえいえ、本当にお気遣いなく!急いでないんでぜんぜん大丈夫です!」

と急いで返事をする。それでもすみませんでしたと何度か言いながらその人は店を出ていった。
今日、再認識した自分に足りていないモノをその人は持っている気がして、けどとても暖かい気持ちになって、悔しさと清々しさが入り混じりながら、食べるうどんはとても美味しかった。

話はここで終わらない。
僕は、帰路につくために街を歩いていると、30℃を当たり前に超えた熱帯夜にもかかわらずメイドカフェのメイドさんが一人お店のビラを配っていた。
今日スーツを着て、死ぬほど汗を書いた自分からすれば、絶対暑いに決まっているメイド服を着ているメイドさんに労いの言葉をかけたくなったが、恥ずかしさと保身の気持ちが勝ってしまった。
結局ビラすら貰わずそそくさと横切ってしまった。
まだまだ修行、いやガッツが足りないようだ。
その日は誰かが脚本でも書いたかのように、感謝ということについて考えさせられることが一日を通して起こったことに、僕はひとまず感謝しなければならない。

そして、最後までこんな駄文に付き合ってくれた、あなたにもありがとう。

本日のBGM
EVISBEATS feat. 田我流 - ゆれる


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