【詩】海を見に
海を見にきた
海の青さを見にきた
海の声を聞きにきた
海はいつに変わらない大きさで
絶え間ない鼓動を刻んでいる
海を見ている
海の青さを見ている
海の声を聞いている
海はいつに変わらない表情で
絶え間なく息吹をはこんでいる
なぜ人は
泣きたいときも 叫びたいときも
海を眺めに来るのだろう
あまりに広く 烈しくて
ただようだけで
確かなしるべをみつけられず
あてなく
途方にくれて
陸にあがってきたというのに
それでもなお
海を眺めにやって来るのは
涙のわけを問うもなく
声のかぎりを気にとめず
いつに変わらない顔色で
ともに 泣いてくれるから
はげしく 叫んでくれるから
©2024 Hiroshi Kasumi
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。