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【詩】夏のわだち

晴れわたる空、吹き抜ける風
君は走る、熱い大地を
遠く湧き出す入道雲が
頭をもたげて拳をかざす

澄みわたる雲、果てしない空
君は駆ける、うなる風に
空高く書きなぐったすじ雲が
気流にまかせて奇跡を刻む

安穏と宙に浮かぶちぎれ雲は
知らず知らず流れていく
萌えわたる大地、吹き寄せる風
君は走る、耀く道を

気ままに吟う
蛁蟟 たちが
声を限りに汗を散らす
日々に衰える短い命を
太い幹にしがみつく

冴えわたる光、透きとおる波
君は駆ける、続く坂道を
無数に飛び交う蜻蛉の飛翔が
揺れる虚空に軌跡を描く
空気を震わす確かな羽音が
耳をかすめて飛んで去る

吹きわたる風、わななく大地
君は走る、息をあらげて
君は駆ける、夏のわだちを

©2021, 2022 Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。