【詩】秋桜
草地は一面、秋桜に染まる
赤く、ほの白く咲く、無数の花弁の
ほのかに甘い、花の匂いに
包み込まれている
山が黙って、見おろしている
空は、熱さを忘れて
吹きぬける風、冷たさを増す
枯れ色に染まりはじめた地平線を
淡い彩りで、揺らしている
波立つ茂みの小さな花
笑っているのか、泣いているのか
首をのばして見あげている
飛び交う蜂を、蜜にさそい
引きとめて、そっと頷く
やがて人知れず、うなだれて
萎れて朽ちる、か弱い花
つかの間を、やさしくする
首をかしげて、見あげている
©2022 Hiroshi Kasumi
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。