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【詩】どうしようもなく青い空に

青い、青い空のした
白い、白い雲のこちらを
遠い、遠いまなざしが
黙って、見おろしている

ながれる雲は、とらえようもなく
吹く風に、運ばれてゆく
ただよう雲は、いくあてもなく
あっけらかんと、浮かんでいる
一瞬の空の景色が、足早に通りすぎる
走り去る雲も、立ち止まる雲も
湧いては消えて、消えては湧いて
つかみようもなく、姿を変える
いつしか、形を変えてしまう

見慣れたはずの雲の景色は
刹那のまぼろし、移ろいの足あとなのだ

そして、この空の青さはどうだろう
見慣れたはずの空の色も、また
いつとはなく眺めを変える
澄みわたる青空と、つき抜ける青空が
すれ違い、重なり合って
やるせなく、目つきを変える

この空の、どこに真実があるのだろう
よりどころない空間に
あえない想いを手さぐりする

空を見て、泣きたくなるのはなぜだろう
きっと、まぶしさのせいだろう
自分がちっぽけなせいだろう

どうしようもなく青い空に
ありようもなく、浮いている
とりとめもなく白い雲
じっと貼りついた遥かなまなざし

©2023  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。