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【詩集】イタリア紀行

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イタリアを舞台にした詩の作品集です。
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記事一覧

【詩】ソラローロ

イタリア北部、エミリアロマーニャ 州都ボローニャの南東40キロ その小さな田舎の無人の駅に…

【詩】カルロフォルテ(孤島)

真冬の海は荒れている 対岸の大きな風車の、白い羽根が 力まかせに、まわっている サルデーニ…

【詩】ヴェネツィア

寄せる波が、岸をあらう 足もとの浜辺を越えて 石だたみを濡らしている 水の都、ヴェネツィア …

【詩】メッシーナ(海峡)

大陸が伸ばしたつま先と 島から突き出た嘴が 触れようとする 青い、青いすき間 水面は深く揺れ…

【詩】コモ湖(印象)

  コモ湖のその水域は   南に向かってのびている   連なる山に挟まれて   湾と入り江…

【詩】ローマにて

すべての道が向かうとされた 喧騒と、混乱にわく 七つの起伏の永遠の都 記録の足もとに埋もれ…

【詩】トリエステの風

冬、アルプスを越え 半島の東に吹き下ろす 北北東の風、ボーラ その強烈な風が吹きすさぶ トリエステは、坂ばかりの町である 山脈の南端の断崖が、逆落としに 地中海に、ころがり落ちる 人波も、車列も 傾斜に足を踏ん張っている 坂道の下、浜にひらけた平ら 海辺に開けた、大きな広場 イタリア統一広場と称す 悠々と、海原を見渡し 残る三方を、壮麗な建物が囲む 人は、露天の大広間で、大空を仰いで ちっぽけな自分をみつめながら 遠い海の、見果てぬ世界へ 心を馳せている 海辺を巨大なロゴ

【詩】ペルージャにて

麓のターミナルでバスを降りて 石の城塞をつらぬく エスカレーターで丘をのぼる 古史を偲ぶ暗…

【詩】ミラノにて(夕暮れ)

メトロの出口を抜け出すと 広場は金色の夕陽につつまれていた 足早に通り抜けていく者たち く…