思ってたんとちがう妊娠 ~ 糖が出た編 ~
年下の夫が進化を遂げて神になり、なんとか妊娠後期に突入した。
私も夫も細身で、ちまっとした小柄な子が出てくるもんだとタカをくくっていた。
ところが、いつも穏やかな笑顔でぼそぼそと喋る産婦人科の先生が遠慮がちに言う。
「あ、あ、赤ちゃんちょっと、お、おっきいね」
「あ、あとかすみさんちょっと、連続して糖がプラスだね」
いやそんなはずはない。私も夫も努力しても太れないタイプの
「に、妊娠糖尿病の検査したいんよね、念のため」
妊娠糖尿病は、糖尿病の既往がなくとも妊娠期のみ発症する場合があり、親族に既往歴があるものがいると発症確率は高まる。
症状が持続すると4000gを超える巨大児になる可能性があり、母子ともに出産時のリスクが高まる。
きょ……
巨大児……(ゴクリ)
という流れで検査をすることになった。検査の手順はこう。
絶食で来院。採血にて空腹時血糖測定。
ブドウ糖炭酸ドリンクを瓶2本分飲む。
1時間後、採血にて血糖測定。
2時間後、採血にて血糖測定。
3回の採血・血糖測定で1回でも異常値が出るとアウト、妊娠糖尿病の治療が必要。
さぁいざ、と空腹の悲しみをたたえながら来院するもさっそくステップ1でつまずく私。そう炭酸が飲めない。しかし飲むしかない。
ちびちびと舌への刺激に耐えつつ1本目を飲み、2本目の途中で危険信号点灯、オエッと上がってくるのを必死で飲み込みなんとか飲み干す。もう涙目。
あとは待つだけと、付き添ってくれた夫とデイルームへ。
ああしんどいな、寝不足かな。絶食だったしな、と思いながら横になる。
55分経過、そろそろ採血に向かうか… と踏み出した1歩が逆流スイッチ!
ギリギリでトイレに駆け込み、甘い甘いブドウ糖ドリンクを全嘔吐!!
あ、、あと、、、5分が……
血糖測定をしても無意味だとわかりつつ、先生に説明してとりあえずで採血。
大量嘔吐で体力を消耗したため病室を借り横になる。
手順に則って3回目も採血したものの、やはり上がるべき血糖値が急降下し、検査が失敗に終わったことは明らかだった。
先生「ま、まぁ一応ね、参考として結果は添付しとくからね、ね、空腹時(1回目採血)は正常だったしたぶん大丈夫やけど念のため、ね」
と申し訳なさそうに慰めてくれる先生。
「もう1回やろか」とは言わないやさしい先生……。
そんなこんなでただただ苦手な炭酸を飲んで吐いてダウンした結果何もわからなかった。悲しい。
その後、里帰りした先の病院でも「確かに赤ちゃん大きいねぇ」とは言われたものの、糖は出なくなり妊娠糖尿病の疑いは晴れて一安心。
あとはあまり大きくならないうちに出てきてくれと願うばかり。
▼そう簡単には出てこない
読んでいただけただけで万々歳です。