思ってたんとちがう出産 ~ 激闘出産レポート編 ~
「3070gの女の子を出産しました♡
産声を聞いた瞬間涙が…
私たち親を選んで来てくれたこの子と、そばで支えてくれた旦那さんに目一杯の感謝を伝えたいと思います♡」
……のような、きらびやかな出産レポート。
生命の誕生という感動の瞬間。
信じてはいけない。
壮絶という言葉に込めた、誰も教えてくれなかった出産のリアル。
▼定義
【母となる者】29歳、痩せ型、体力自信なし
【父となる者】25歳、痩せ型、睡眠欲強め
【環境】里帰り出産
【出産経験】なし
▼妊娠経過
つわりで妊娠に気づく
壮絶なつわり生活で体重は6キロ痩せ絶望の日々
元々細身だったゆえにおなかはほとんど出ない
貧血で処方された何種類もの鉄剤でことごとく副反応が出て吐く
妊娠糖尿病疑いで検査をするも検査用ドリンクを吐いて結果不明
だいたい辛かった
▼分娩経過
7月6日
15:30
おしるしあり。
23:00
生理痛のような腰の鈍痛が現れ、夜中何度も目覚める。
7月7日
5:00
陣痛らしきギュウッと強い痛みが20分間隔で現れる。
11:00
元々予定していたバスで夫が実家に到着。まだ余裕な私を見て「めっちゃ普通やん」
15:00
少しでも寝て体力を温存したい私 vs 暇かつ最近のNetflixでアツいドラマ(ストレンジャーシングス)を語りたい夫
17:00
不規則ながら10分以下の間隔で痛みがあり受診。子宮口は1cmしか開いておらずまだまだと言われるも、往復するんもしんどいので入院。
18:00
痛みの間隔が5分以下に。両親と夫が順番に夕食を食べに帰る。のちにシャワーも浴びてさっぱりした夫登場。痛みのインターバルに母が用意してくれたサンドイッチを食べ、汗拭きシートで身体を清める。
19:00
さすってもらわないときつい痛みになる。が、インターバルが暇らしくNetflixを片手にさする夫に私「遅い」と喝。Netflixやめろ。苦しむ嫁の目の前で堂々とあくびすな。
21:00
もうだいぶ前から1~2分間隔な気がする。さすがにNetflixを手放した夫に手を引かれ、歩けなくなる前にと分娩室へ。子宮口3cmしか開いておらず「朝までコースだ」とサラッと告げられる。え、これもしくはこれ以上の痛みが朝まで?冗談きつい。
22:00
さすってどうとかいう話ではないが腰さすさす&肛門プッシュで3%ほど痛みが引く。肛門からぐーっときて意味わからん痛みが広がる感覚。これが、陣痛!ベッド柵を握りしめ一心に息を吐く。黙ってさする、押す、飲み物を差し出す、汗や涙を拭くと献身的に働く夫。
7月8日
0:00
子宮口8cmと言われたかもしれない。日付は7月8日へ、七夕ベイビーがよかったなと思いつつ鬼のような“いきみたさ”に耐えようとする。しかし耐えられず力む力む。産みたくて産みたくて震える。分娩の体勢をとる。
2:00
「ジンパします」と助産の実習生の声。人口破水のことだなと懐かしい知識を引っ張り出す。「いきんでいいよ」と助産師。やっと、やっと産める!!!いきんでいいんですね!!!!と意気込むも、なぜかここにきて陣痛が弱まり間隔が開く。痛覚が破綻した私はもう痛んでいるのかどうかもわからない。モニターの胎児心拍を頼りに「たぶんいま陣痛来てる」と思うタイミングでいきむ。腹筋がなさすぎて上体を起こせず、夫が補助。筋力不足により脚が震え始める。「もうすぐ頭出ますからねー!」の声に「もうとっくに出たと思ってた」と絶望を覚える。酸欠で飛蚊しまくる。『鼻からスイカ』は嘘。もはや痛みを感じる気力がない。
3:18
「目開けて!赤ちゃん出るよ!」と促されるも、もういいから、終わったなら休ませてくれ… と朦朧とする意識の中願う。ボーッと夫の顔を見つめながら産声を聞く。切れた会陰を縫われる、地味に痛い、早く脚を降ろしたい。起き上がれない私。母が最初に娘氏を抱く。次に夫。赤ちゃんを隣に寝かせてもらって記念撮影。「ハハゥエ!」と泣く初対面の娘。
▼結果
【日時】2019年7月8日 3:18 女児誕生
【分娩所要時間】10時間20分
【在胎週数】38週3日
【立会人】旦那氏、実母
▼考察
痛み
陣痛が意味わからんぐらい痛い。産むときはもう感じてない。よく叫び声が聞こえるとかいうけど私の場合は静かにハラハラと涙を流して耐えた。叫ぶほどの体力はない。
体力
不足。長時間になる初産はスタミナ必須。
筋力
不足。痩せすぎよくない。
夫
Netflixを手放して以降超優秀。ざっくり評価は以下。
知識:△
思いやり:◯
冷静さ:◎
体力:◯
無精髭:△
気配り:◎
実母
さすがは経験者、わかってらっしゃる。そうそこ、そこが痛いの。母の「がんばれ」は希望。母の「おめでとう!」は安らぎ。産声録音グッジョブ!!
感想
もう二度と産める気がしないがいい経験だった。経験せずに語るもんじゃない。人間も動物。感動なんてなかった、あれは闘い。
もしもこの『壮絶』さを忘れて「2人目ほしい♡」なんて思い始めたらまずこれを読み返すことにする。それでもほしけりゃ産むがいいーーー。
吐かず痛まず2人目がほしいなあああーーーーー。
読んでいただけただけで万々歳です。