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あなたの理想の夫婦ではありません

やっぱり心のどこかで「みんなの理想の夫婦でいたい」もっとストレートにいうと「仲良し夫婦を演出したい」と思っている自分がいる。

5月、5回目の結婚記念日。
夫はカメラマンであるので、結婚記念のセルフ撮影会をした。
撮影は楽しかったし、写真もまぁいい感じだった。

夫はその日のうちにインスタにアップしたようだが、私は「なんか今じゃない」と先送りにし、次も「まだちがう」「今日もちがう」「今日も理想の夫婦にふさわしい心持ちじゃない」とアップできないまま2ヶ月が経った。

結婚するのに仕事は重要じゃないと思っていた

結婚を決めたとき、年下の夫はまだ社会人になりたての会社員1年生だった。

プロポーズはなく、どちらかというと私が早く結婚したくて「結婚したくなるように仕向けた」のだった。
だって入籍するのはタダだし、社会人歴とかスペックとか関係なくない?と思ってのことだった。

事実結婚生活は楽しかったし、決して多くはない収入でも、毎日を生きていくのに支障はなかった。

お金よりなんともならないのは時間

結婚4周年を迎えたその夏、夫が転職した。
はじめての転職ではなかったし、これまでもなんとか楽しくやってこれたし、これからもなんとかなるだろう。
私はそう大らかに受け止め背中を押した。

ところが。

労働環境は激減、休みは半分以下になり、一緒に過ごせる時間は以前の10分の1以下に。
1日にまともに顔を合わせるのは30分程度。面と向かって丁寧な言葉のやりとりができるスキはなく、事務連絡もままならない。

たちまち生活は崩壊した。

そして私の心も崩壊した。

年収はどうでもいい。お金のことはなんとかなる。ただ時間だけはどうにもなんともできない。

2歳になったばかりの娘を抱えてほとんど母子家庭状態となり、孤独感と虚無感に苛まれる日々。
そしてこれまでが割と仲良しな夫婦で、この結婚から幸せや楽しみを簡単に享受していたがために、供給源が崩壊したダメージは強大だった。
幸せや楽しいといった感情が消え失せ、心が真っ暗になったようだった。

なぜ諦めさせてくれないの

毎日のように泣いて、不安不満をぶつけて、そのたびに現状のどうにもならなさを突きつけられて、もう私たちは終わりだ。結婚も終わりだ。もう悩まなくていいのなら、いっそ諦めてしまったほうが楽だと思った。

だがそうはさせてくれなかった。
夫が、そうさせなかった。

私が投げ出そうとするたびに、お願いだからと食い下がった。1年前まで私は確かに幸せだったけれど、夫に対して何かメリットをもたらせたかと問われると自信がなく、なぜ諦めさせてくれないのかわからなかった。
しかし彼の中には揺るぎない何かがあるようだった。

這いつくばって泥を消化した

そうして何度もぶつかって諦めかけては引き止められて、地面に這いつくばって泥を飲んで無理やり消化してやっとの思いでたどり着いた5周年。

周年というのは一般的にめでたい表現だと思うが、5回目の今回私にとってそれはただの単位でしかない。
まだ、もがいている途中だ。

でも、1年もがいてやっと「諦めたくない」と思うようになった。諦めたくない。この結婚を、夫婦を諦めたくない。

まだまだ黒い渦から抜け出せないけれど、抜け出す努力をこれからはじめる。

理想の夫婦なんてない

理想に見える二人も大なり小なり抱えている何かがある。と思わずにはやってられないというのが本音だが、結婚の難しさをリアルタイムで体感している。正直、子育てより夫婦のほうが難しい。

でも、努力で変えられることは夫婦のほうがきっと多い。だから、しぶとくもがいてみようと思う。

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