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赤子の名付けはこんな風に

ついに生んだ。とんでもない体験だった。

そして親になった。
親となって最初の仕事が名付けである。

よく小学校の宿題で「親に自分の名前の由来を聞いてくる」というのがある。
出産記念アルバムにも名前の由来が書いてあり、多くの場合それは「こんなふうに育ってほしい」という親の願いが込められている。

そう認識していたもので、妊娠しさぁ名前を考えようとしたとき、思考は自然と「どんな子になってほしいか」と自分の願いを探るものになった。

自分や夫のルーツを探りキーワードを書き出し、生き方を言葉で表そうとし、いくつかの候補が浮上した。


ところが、だ。


私が経験した妊娠は、まったくもって美しくなかった。
ほとんどの時間をトイレでゲーゲーして過ごし、QOLはおろかADLさえも著しく低下した。

母体はじゃがりこかと見紛うほどカリカリに痩せていく一方、
腹の中の赤子はすくすくと、それはもうすくすくと標準以上に大きくなり
私がトイレでゲーゲーやっている間も元気にポコポコと腹を蹴り続けていた。

「なんて自由な子なんだろう」と半ば感心しつつ、自分の意思が何一つ意味をなさないどうしようもなさに

「子の名前に親の願望を込めるなんておこがましい」

と思うようになり、名前を一から考え直すことにした。


環境や親に縛られることなく自由にその子らしく生きられるようにと考えたとき
自然と母なる海のイメージが浮かび、海に関連する名前にしようと決めた。

そして、その子らしく生きられるよう、芯のある強い名前がいいと、響きや漢字の見た目を考えた。

加えて、誰でも読めること、女っぽすぎず男っぽすぎない名前であることなど、
社会や精神がどうなろうと不自由なく生きられるようにと考えた結果、候補が一つだけ残った。

夫も気に入り、暫定。赤子の顔を見て本決定。
出産ではマイペースに出たり入ったりを繰り返し、頭が出る直前まで腹をポコポコ蹴り続けていた我が子、ブレなかった。

退院日

ちなみに性別がわからない妊娠初期からなぜか女の子の名前しか浮かんでこず、女の子だろうと思っていたら本当に女の子だった。

娘よ、ようこそ私たちのもとへ。この世界へ。

読んでいただけただけで万々歳です。