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短夜奇譚

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掌編小説集。 カクヨムにて投稿している「短夜奇譚」からお気に入りを抜粋。
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【掌編ホラー】職人手作り★一点ものです★

【掌編ホラー】職人手作り★一点ものです★

 あのぬいぐるみさ……何?そう、お前からこの間貰ったやつ。王道なテディベア。こんなうだつの上がらない生活してる中年にプレゼントするもんじゃないとは思ったけどさ、そこじゃない。いやありがたいとは思ってるよ、だって俺の誕生日祝ってくれる奴ってそういないから。兄さんでさえ忘れてたからね、俺の誕生日。別に日付変わるときにおめでとうって言って、贈り物してほしいわけじゃないけどさ。特別されると嬉しいってだけ。

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【ホラー掌編】個性で済ませて

【ホラー掌編】個性で済ませて

 音ズレてたの気づいた?そう、まあわかるよね。うん、そりゃ俺も気を付けたいけどさ……あればっかりは俺にもどうしようもないんだよ。自分の指だったらさ、矯正のしようがあるんだけど。勝手に生えてくるんだよね、ライブ中に。あとはお菓子食べてるときもたまにある。たまに生えてきてさ、弦押さえるんだよ。

 心当たりって言えばね、こないだ弟が死んだんだよ。事故だったんだけどさ。あいつもギターやりたがってたんだよ

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【掌編ホラー】気づいた本質、時すでに遅し

【掌編ホラー】気づいた本質、時すでに遅し

 昔から両親に先祖が見ているぞという励まされ方と脅され方をしていたので、いつも家の自分から離れた影になる場所や隙間から覗いている目は何代か前の先祖だと思って悪いことはしないしできなかったのだが、あるとき両親がまたその物言いをしたときにその目が見えなかったので、でも今は見てないよと言ったところ彼らは取り乱し始め、それがどんなものかいつ見えるのかということを根掘り葉掘り聞かれて不思議に思ったのだが、そ

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【掌編ホラー】お暇なら一服いかが

【掌編ホラー】お暇なら一服いかが

 寝付けないのでベランダで煙草をふかしていると通りに白い服の女が立っていることに気づいて、そいつがこちらを見て手を振るので思わず振り返してしまったのだが、その途端、女の首が目の前まで伸びて柔らかく笑いつつ挨拶をしたと思うと他愛のない世間話を始めて、煙草を強請るので咥えさせてやるとまた微笑んだので、良い話し相手が見つかったと思いつつ、今は盆だと気づく。

【掌編ホラー】よその縁、家のうち

【掌編ホラー】よその縁、家のうち

 父の実家には母屋にあるものとは別に物置になっている離れにも古びた仏壇があってそこにもきちんと位牌とそれなりの供え物なんかが置いてあるのだけれど、そのそばに無造作に置かれている遺影写真に映るうちの家系に似ていない気のする見たこともない人たちの顔が皆母屋の仏間に並んでいるものよりも断然若く見えるのが気になったのでそれが誰のものなのか叔父に聞けば、お前には関係ないのだから気にするなと優しい口調の割に二

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【掌編ホラー】虚像と相反する実像の本質および末路

【掌編ホラー】虚像と相反する実像の本質および末路

 兄が彼女を紹介するというので彼がひとり暮らしをしているアパートへ菓子折りを片手に行ったのだがそこには兄一人しか居なくて、さも隣に誰かが居るかのように話す兄に何と切り出そうかと考えたまま居心地が悪くなった俺は適当な理由をつけて逃亡を図ったのだけれど、玄関先まで送ってくれた兄の横の鏡越しに白い足とスカートが寄り添うように立っていたので、俺はもう二度と兄に会うことはないのだろうなという直感が頭をよぎっ

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【掌編ホラー】一本分の逢瀬

【掌編ホラー】一本分の逢瀬

 煙草ですか。まあ、好奇心ですね。若気の至りってやつですよ、よくあるでしょう。あとは……先輩が吸ってたからですかね。大学の時の。

 同じサークルに入ってて、酒も煙草もギャンブルもやる人でした。ダメなヤツ……って言ったらそうですね。でも喋ってるぶんには良い人でしたよ。

 でも居なくなっちゃったんですよ、4年の夏でしたか。別に地元に帰るタイプでもなかったし、折角の休みだからどっか誘おうかと思ってた

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【掌編ホラー】払わないなら取ればいい

【掌編ホラー】払わないなら取ればいい

 これね、うちの墓だよ。ちゃんと埋まってるヤツ。今はもうないけど。下にあるのは参る専用のヤツだよ。最近は下にしか埋めてないところも多いみたいだけどね。うちはさ、ほら、伝統を重んじるから……両親はやめようって言ってたんだけどさ。そしたらこのザマだよ。

 ちゃんとやらないと祟られるって本当だね。ひとり目が曇ったら一族郎党食われたじゃないか。

 墓荒らしなんか入ったって盗るものないもの。神様だよ。…

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