華子の日記「マコトくんとヨウちゃん」それは真夏の夜におきた話
マコトくんと寝ていた明け方。
目が覚めるとマコトくんと私の間にか細い肩までの軽くパーマがかかった髪の毛にカラーを入れていないとみられる女の人がマコトくんに寄り添ってんている・・・。
いつもは私はマコトくんに抱えられて寝ているのだけれど、その日は隙間が一人分開いていた・・・。
「マコトくん。女の人がいる。」
「ヨウちゃん、何言ってんの?」
マコトくんは朝からヨウのとんでもない悪ふざけが始まったと思った風に笑っている。
「いや。いたの。」
実はヨウは時々天国に行った人に伝言を頼まれることがある。
これには条件があり、すごくとお世話になった人、親せき、親族。
残念なことに夫に起こりうる危険は誰も教えてくれなかった。
でも、夫がこの世を旅立ったと思われる時間に夫からの伝言は聞いた。
「ヨウ、オレが全部持っていくから大丈夫。」
まさか帰ってこない人になるなんて思っていなかったから何言ってんだろぐらいにしかなかった。
友人が「さみしいよ。今会えないんだ。」って夢で言った時、その友人と親しい人に電話したらその時は「元気だよ」って言われたけど後日彼女が無事退院できた時。実はあの時脳梗塞で生死をさまよってたと聞いた。
そんなこんなも夫がこの世をさって全く縁がなかった。
マコトくんに言わせるとそんなひと周りにいないらしい。
そうなんだぁ。なんだろね。なぁんて実は次の日もマコトくんとお泊りの日だった・・・。
マコトくんにイカされるとヨウは朝まで起きない。
けれどその晩はその人が話しかけてくる。
ヨウが見る人には悪い人はいない。悪さをされたこともない。
でも、その夜の不思議は、その人が話しかけるたびにマコトくんをおこしてまで伝言していた。
いま、何を伝言したか思い出せない。
緑色の服をきて彼女は木立の中で立っていた。
私はマコトくんの初恋の人かな?と思ったりしながらマコトくんに伝言を伝える。
マコトくんはヨウが寝返りを打つたびに布団をかけてくれる。
本当に優しい。
努めようと思ってもできない気づかいだし、離れると必ずくっついてくれる。
前日、隙間があったからだ!と私が子どものように言ったからマコトくんは寝相の悪い私を「ヨウちゃん、よいこらせ。」って言いながら引き寄せる。
そんな緑色の服を着た彼女を見るのは私がマコトくんの後ろからくっついているときだ。
彼は彼氏ではない。
何があったか推測もしない。
マコトくんが何を思っているかも考えない。
ただ、その夜は数回彼女の伝言を伝えるためにマコトくんを起こした。
なんだろ。
変な夜だった。
目が覚めるとその朝は絶好調に青空が私たちを照らしていた。
そしてバイバイって次会える日を楽しみに別れた。