イメージの百人一首24「このたびは―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第24首】
このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに
《このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに》

 あなたは旅に出ており、山道にいます。季節は秋。紅葉が美しい時季です。あなたは旅の無事を祈るために、旅の神である道祖神《どうそしん》に捧げ物をしようとします。神への捧げ物としては、木綿や綿の切れ端で作った幣《ぬさ》を捧げるのが一般的です。

 あなたはその幣を捧げようとして、周囲の紅葉の美しさに目を留めます。そうして、幣よりも、錦のように美しいこの山の紅葉をささげ、神の御心のままに受け取ってもらいたいという気持ちになるのでした。

 菅家《かんけ》

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