イメージの百人一首23「月みれば―」
※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。
【第23首】
月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど
《つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど》
秋の夜。あなたは一人で空を見上げています。暗黒の夜空には、白く光る月がかかっています。その月を見ていると、あなたは、あれこれと物思いにふけってしまいます。物思いには際限がないようです。
あなた一人の秋というわけではなくて、どの人にも秋は訪れていて、それぞれの人にそれぞれの悩みがあることはあなたにも分かっていますが、あなたにはどうしてもこの秋の夜が自分のために来たような気がしてならないのです。
大江千里《おおえのちさと》
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