イメージの百人一首22「吹くからに―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第22首】
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ
《ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん》

 季節は晩秋です。あなたの目の前で、風が強く吹いています。その風は山から来るもので、草木をしおれさせんばかりの勢いです。山風が、季節を冬に変えるために、秋の景色を一変させていきます。

 そこで、あなたは、なるほど、と一つ思いついたことがあります。山から吹き下ろされる山風のことを、「山」と「風」をくっつけて、「嵐《あらし》」と言うのは、その山風が秋の景色を「荒らし《あらし》」ていくからなのだ、と。

 文屋康秀《ふんやのやすひで》

→第1首へ

→第21首へ

→第23首へ

読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。