第24首 永遠の夜を

※このノートでは、秋の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。和歌によっては、【ちょこっと背景解説】というパートがあるものもあり、そこでは、鑑賞する際に知っておくと、より深く和歌を味わうことができる知識をお知らせしています。

わくらばに 天の川波 よるながら 明くる空には まかせずもがな
《わくらばに あまのかわなみ よるながら あくるそらには まかせずもがな》
(新古今和歌集/徽子女王《きしじょおう》)

【イメージ】
 一年に一度の逢瀬。
 ようやくお会いできました。
 どうか、天の川の波が寄せる、この夜のまま、
 明けていく空にまかせずに、わたしのことを離さないでください。

【ちょこっと古語解説】
○わくらばに……元の形は「わくらばなり」で、たまたまであること、まれであること、を表す。
○よる……「川波『寄る』」と「『夜』ながら」の二つの「よる」を重ね合わせている。このように、一つの語に二つの意味を重ねる技法を、掛詞《かけことば》という。
○ながら……「~のまま・~のままで」の意。
○ず……打消《うちけし》を表す助動詞。「~ない」ほどの訳。
○もがな……願望を表す語。「~であればなあ」ほどの訳。

【ちょこっと背景解説】
 この和歌は、七夕の夜に織女《しょくじょ》(=織姫《おりひめ》)の気持ちを詠んだもの。
 七夕の日は、陰暦(=昔のカレンダー)では秋に当たる。

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