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イメージの百人一首27「みかの原―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージをお伝えするに当たって、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解していただけるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第27首】
みかの原 わきて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ
《みかのはら わきてながるる いずみがわ いつみきとてか こいしかるらん》

 あなたの目の前に川が流れています。それは泉川という大河で、みかの原という京都府にある盆地を二つに分けるように流れています。あなたは、今恋をしています。そうして、泉川の水があとからあとから湧いて出てくるように、恋するその人への気持ちが溢れ出てとめようがありません。

 あなたは首をひねります。その人とはまだ契りを結んだわけではないのです。逢瀬を遂げたわけではないのに、どうしようもなく恋しくて、どうしてそれほどあの人のことが恋しいのだろうかと、あなたは不思議に思ってやみません。

 中納言兼輔《ちゅうなごんかねすけ》

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