今一番熱いかもしれんGL漫画、『毎月庭つき大家つき』を買って欲しい

みなさま〜。どうもお久しぶりです。輿水かしこです。

 気づけば前回の記事からだいぶ時間が空いてしまいましたが、その間も私は変わらず主に百合作品を出来るだけ鑑賞する生活を続けています。トワツガイ、みんなもやろう。

 さそんな中で最近読んだGL漫画の中でも一番私が読んでてワクワクしたのが『毎月庭つき大家つき』の3巻でした。この漫画、個人的には今一番続きが見たくなってるし、長く続いて欲しいと思ってます。なので今回はこの作品の魅力が詰まってる最新3巻の感想を語り、良さを広めていけたらなと思います。ネタバレめっちゃあるけどそれでも良い人は読んでください!


先に恋心を自覚したのが「ミヤコ」である良さ

 さて、『毎月庭つき大家つき』のストーリーをざっくりと説明すると、「献身的すぎてパートナーとすれ違い続けたビアンの主人公・須賀アサコが心機一転のために借りた物件は、急に芸能界から消えたトップアイドル・ミヤコが大家を努める物件だった。しかも、賃貸契約には『ミヤコが住み込む』が条件に含まれており、元アイドルとのルームシェアが始まってしまう。私これから、どうなっちゃうの〜?」というお話です。

 二人が一緒に暮らしていく中で、ミヤコの生活能力のなさと絶妙な前向きさに、アサコの世話焼きな気質がすっぽりとはまり、「おねーさんと大家さん」として二人はどんどん馴染んでいきます。そうした二人の生活のあり方から、ミヤコは自分がやめたアイドルの世界への思い残しと向き合い、アサコは今までの人間関係から生まれてしまった傷と向き合い、お互いを支え合って進んでいく、という内容が大体3巻までのお話になります。

 このあらすじもそれだけで良いのですが、個人的にびっくりしたのは先に恋心を自覚したのがミヤコの方だった点です。アサコは面食いで、さまざまな恋を経験している人物です。そんな人に元アイドル超美少女の同居人ができたらそりゃ惚れるのはアサコの方だって思いません??

 ですが、この作品はアサコとミヤコの関係性をとても丁寧に扱ってくれるので、そういう単純な展開には持っていかないんですよね。生来のお人好しを受け入れてくれるミヤコに対して、アサコはどんどん居心地の良さやミヤコへの馴染む気持ちを得ていきます。

 その一方で、ミヤコの方がアサコのことを好きになっちゃうという!!これ結構自分の中では裏切りでしたし、でもすごくいい展開だと思います。元アイドルという自分の立場を気にせず、当たり前のように接してくれる。あなたのためという言葉を使って自分を否定せず、当たり前の自分を受け入れてくれる。「自分らしくいれる」環境が今までなかったミヤコにとって、そういう「人として当たり前である」誠実なアサコの態度こそ、心を溶かしたものだったというのは救われる話です。

 1巻のストーカー回、2巻のアイドルの過去と向き合う回、ミヤコは「大家さん迷惑かけてごめん」「しょうもない話でごめん」というのですが、それに対するアサコの返答が「同居人が困っているのだから、答えるのは当たり前」「あなたの真剣な悩みなら、しょうもないことなんてない」と真剣な顔で言ってる。この誠実さの書き方が私は本当に好きです。

 そんなふうにミヤコと向き合う時の真剣な顔。普段ミヤコをお世話するときの少し嬉しそうな顔。そのどれもすげー素敵な表情になるアサコさん見てるとさあ。こんなんそりゃ好きになるよね!!!!と思うわけ。観葉植物回で、名前を呼んでもらう観葉植物に嫉妬しちゃって自分の名前を呼ばせようとするくせに、いざ呼んでもらうと恥ずかしくなっちゃうミヤコのいじらしさは最高でした。その後自分のときめきに気づくシーンは最高の恋心の自覚シーンだと思います。名前を呼んで気持ちに気づくほどいいモノはない。

とにかくみんな綺麗!!!

 そしてこの「毎月庭つき大家つき」とにかくみんな作画がいい!!!可愛い!!!美人!!!もうそれだけで読んでで浄化されると言っても過言ではないかもしれません。

 特に元アイドルであるミヤコの良さは毎回心臓をぶち抜かれますね。普通にゴロゴロしてるだけでも可愛いのに、アサコと出かけるときは不意に肩を抱いてイケメン仕草を見せたり、と思ったら猫みたいなかわいらしさでアサコに寄りかかってたり。ミヤコさんがスーパーイケイケ美女からめちゃかわ美少女まであらゆる幅を見せてくれるため心が休まりません。変装回で出てくる黒髪ショートもまた……普段とは違う格別な良さ……。

 そんなミヤコと相対するアサコさんもまた綺麗で素敵なんですよね。特に前述の真面目な表情はマジで人を惹きつける素敵な表情だと思う……。二人のどっちとも本当に綺麗すぎてどのページを見ても美しくて最高か???となれます。美しさを浴びたい方におすすめの漫画かもしれん……。

GL漫画の告白シーンは最高

 さて、表題の通りGL漫画の告白シーンは基本的に最高であり、読者としては「やった〜〜〜〜〜〜〜!!!!!おめでとう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!うお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」となるのですが(安達としまむらの樽見の告白シーンを除く)、例に漏れず「毎月庭つき大家つき」の告白シーンも最高です。

 先に恋心を自覚したミヤコが「好き」って伝えるものの、今までの人間関係で傷を負っていたアサコの心には響かず。それでもアサコに対して誠実でいたいミヤコは、アサコの傷に踏み込んで「うしろじゃなくてこっち見て」と手を掴みます。もうほんと一度ギャグのように流された告白からは打って変わって真面目で、胸がキュンとする最高の愛の伝え方なんですよね。その上真面目な顔したかと思えば「私の『好き』はこういう好きなんやで」と悪戯っぽく微笑むシーンはミヤコのあまりのイケメンっぷりに読者全員が堕とされるんじゃないか?まあミヤコはアサコのことが好きなのですが……。

 そんな告白に対し、一度は保留して気持ちを確かめたアサコが「家族みたいに思ってるの?」と聞かれて「お兄ちゃんとは違います!」と勢いよく答えてしまうシーンも本当に良い。この瞬間、アサコと読者は同時に「あ、やっぱりミヤコさんのこと好きなんじゃん!」と気づくんですよね。この気持ちの連動、そしてマグカップに映るミヤコの姿……。もうこのまま走り出せ!やが君みたいな感じで!!と思っていたら、まさかのすぐ後にアサコの告白シーンがやってきます。

 そう、ミヤコからアサコへと、アサコからミヤコへ、どちらの告白シーンも見させてもらえるというこの……あまりにもありがたい構成。GL漫画の告白シーンは最高なのですから、つまり最高が2回も出てきてお得というわけです。その中でもやっぱり、二人の想いが同じだと通じ合ったアサコの告白シーンが特に良いですね。1ページ丸々使って「好きです大家さん」と伝えるシンプルな構図に、これまで溜めに溜めた二人の関係性への祝福が爆発するようでした。本当に最高なんですよこのシーン。その後の照れた表情とか、二人がゆっくりと手をつなぎ合うところが切り取られたコマとか、漫画表現の良さも全部ここに詰まってる。GL漫画の告白シーンで好きなのどれ?って言われたらこの漫画を挙げます。

続きが……読みてえ!!

 さて、漫画的には二人が恋人同士になり一山超えた「毎月庭つき大家つき」ですが、人生はその後も続いていくものであり、当然付き合った後のお話も続きます。二人の付き合ってる日常はマジで可愛すぎるためずっと見ていたく、この作品が末長く続いて欲しいと毎晩星に祈りを捧げる日々です。

 作者さんのTwitterによると、3巻の売り上げ次第ではもうちょっとだけ続くかも!?とのことなので、できればより多くの方が買ってくれることを祈っています。それでは。

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