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【相談】戦闘・アクションの書き方を教えて!【小説講座】

ポジティブ&テキストオンリー創作生活情報交換掲示板オジョフォーラムの「ゆるクエスチョン」スレより、興味深いトピックだったのでおシェアします!

Q、アクションを描写する時どれくらい細かく書きますか?

Yお嬢様:
小説で戦闘場面がある場合、アクションを描写する時どれくらい細かく書きますか?
私が書こうとしているものはアクション戦闘があるRPGが原作の二次創作長編で、お話そのものはアクションが主軸ではないのですが、原作にその要素がある場合無いと味気なさ過ぎるかなぁと悩んでおります……

オジョフォーラムより

A、書く意味の有無で仕分けしましょう

Nお嬢様:
お話の流れの中で、戦闘描写を書くことの意味があるのであれば書いてもいいのではないかしら?と思いましたわ〜。逆に言えばそのシーンを入れることにあまり意味がないのであれば、無理に戦闘要素を入れなくてもいいと思いますわ。
詳しいことは存じ上げませんが、敵に勝つことでそのキャラ(または武器や魔法など)の強さを表現する、または勝てないライバルの存在を強調するなど、説明が難しいのですが戦闘シーンを入れる意味を考えてみるといいかもしれませんわ!

ここからは自分語り申し訳ないのですが、参考にしてくれると嬉しいですわ〜。
わたくしバトル作品の二次を書いていますが、戦闘シーンを書く予定はありませんわ。2人の日常を書くのが目的で、その中に戦闘はいらないと判断いたしました。原作に戦う要素があっても、それを入れてない作品を書いている人もここにいますわ〜!
また、小説での戦闘描写は忍殺が個人的にはオススメですわ!わたくしも上の作品とは別の作品で戦闘シーンを書くにあたり、実際に小説での描写を見てみるとかなり解像度が変わりましたわ。ネットでも少し読めますし、図書館にもあると思いますので手に取ってみてはいかがかしら?

オジョフォーラムより

わ、理解る~~!!
そのお話で何を表現したいかで、必要な描写かどうかも変わってくるんですよネ。

ニンジャスレイヤーの戦闘描写、「イヤーッ!」「グワーッ!」で終わる雑魚戦闘の省略の仕方が印象的!だったのですが、確かに省略しない戦闘描写も分かりやすい……!

おシェアしますネ!

結局大事なのは「何をどう書きたいか」なので、「あまり気は進まないけど、書かなくちゃいけないのかな……?」という不安には「無理に書かなくてもいいんですのよ!」という答えがハマりますネ。

知見をありがとうございます!

■戦闘シーンの書き方コラム

小説の戦闘シーン、アクション描写について……総合的に考えてみたら楽しくなっちゃったので、訊かれてない内容についてもカキコしちゃいました!

以下、掲示板に書いた内容に大幅に加筆しています。


原作に戦闘あるから二次もの気持ち、理解ります~~!!
全部既出だけど、わたくしの仕分けだとこんな感じです。楽しくなったので、聞かれてないことも書いてます!

◎メインとサブを意識しましょう

・話の見せ場とか、プロット段階で「ここはキモ」「ここをウリ」と決めたならアクションが主役なので必要。
・「これはキャラをかっこよく見せるだけのシーン」「世界観の演出としては入れたい」みたいな、脇役だったら脇役なりの描写でOK。

・なんちゃってミステリー/ホラー/料理ものなど他の描写も同じで、「話のキモ」なのか「サブ」なのかの仕分けが重要。他にメインの「いちゃいちゃ」など書きたい・需要のあるものがあれば、そっちに割く尺を潤沢にしましょう

→完成品がハンバーグプレートだとすると、その描写がハンバーグなのか、ニンジンなのかで変わってきますよネ。
どんなにニンジンが好きでも、あくまで「添え物」の場合は、主役のハンバーグをいちばん目立たせたいです。
(これは商業を意識したやり方なので、趣味のウェブ小説ならいくらでも好きに書いてOK!)

◎サブ描写ならカットできる

・原作やそれまでの描写で「お約束」ができているなら、ガンガンカットできる。通じるか分からないけど、「話の途中だがワイバーンだ!」とかは、「イヤーッ!」「グワーッ!」と忍殺みたいにカット可能。

・「その後、彼一人で百人の敵を叩きのめし、島の伝説になった」みたいに、地の文であっさり語るのもアリ。後日談向き。

・雑魚戦は、原作やそれまでの作中描写で「このキャラはこの敵を確殺できる」と読者の中で認識があれば、かなりカットできる。(モブを連れて物陰に行った後、モブの悲鳴だけ聞こえて、血痕をつけて帰ってくるとか)
・尺を割けば割くほど「重要度」が自然と上がってしまうので、雑魚戦とボス戦では明確に尺を変えましょう。
・絵を描く/撮影するのが大変で、長さに制約のある漫画や映画は、特に尺のメリハリ・コントラストの付け方が上手い。とても参考になります

・逆に、強さなどの共通認識がないなら、あっさり短くでいいから描写を見せたほうがいい。
(一人目は顎にハイキック、振り向きざまに二人目に裏拳を叩き込み、三人目はバク宙からのムーンサルトプレスでKO。「お前そんなに強かったのか!?」「あ~、通信空手やってて」「空手の動きじゃなかったけど!?」みたいに、驚き役を用意すると読者の感情を代弁できる。一次なら、その世界のリアリティラインや強さの基準が分かる)

◎あえてのスカシで笑いにつなげるのも可能

・アクションは、一般的にはシリアスで緊張するもの。そのイメージを利用して、「今から戦うぞ戦うぞ!さあどんな壮絶なバトルが……」と煽りに煽りまくってから、敵が偶然落ちてきたタライで気絶する、みたいなギャグシーンも書ける。ギャグは落差。

◎メイン・好きなら盛ろう

・ハンバーグプレートでいうハンバーグ、メインディッシュならそこが一番盛り上がるように書きましょう。「バトルもの」ですわネ!
・アクションが好きで盛りたい場合、いくらでも盛ってOK!自分へのサービスシーンだから。
・格闘技の試合やバトルもののアニメを見ながら、それを全部言葉にする翻訳が練習としてはおすすめ。
・バトルは駆け引き。相手の武器も手札も分からない状況での心理戦や読み合いもアツイ!「敵や主人公サイドを、読者をも巻き込んで騙す」のがハマると気持ちいい。
・殴り合いだけでなくどんな競技・題材でもバトルが書ける。(例:あかね噺
・アクションは「危ないもうダメだ」とハラハラさせる→「いや実は大丈夫」の繰り返し

「もうダメ」→「大丈夫」のハッタリバトルが異様に上手いのは終末のワルキューレ。後出しともいうけど……面白かったです!

また、地に足ついた格闘技ならレッドブルーがハチャメチャに熱くて大好きです!自然とMMAに詳しくなれる。シャークジムはヒールの集まり。それがいい。

関係ないけど最近見た映画のリアルスティールも面白かった~~!!ロボットボクシングを通した父子の話です。(ダメ親父パート、ロボ破壊描写があります)
これも「もうダメ」→「大丈夫」の繰り返しがアツイ!

◎お手本の描写

小説だと、推しの伊坂幸太郎先生お嬢様の描写が、簡潔でお手本としては皆にオススメできます!上手すぎる~~!!!!

※痛そうな描写があります

伊坂幸太郎『グラスホッパー』より(ブックウォーカー)
画像はスクショをつなげたもの

描写のキモは、発端→反応(→山場)→結果。

【発端】
(この前段階で、人を助けるため突入することを説明)
まず「どういう状況か」を伝える

【反応】
キャラの合理的判断、行動の根拠

短文での簡潔な行動描写の繰り返し

要所要所で、そのキャラ独自の思考や記憶を開示して、キャラの解像度を上げつつ豊かな描写にする

【結果】
敵に勝利し、この後人助けの目標達成

三人称一元視点で、冷静で乾いた感じもありつつそのキャラの主観、臨場感がありありと伝わってきます!
お話としてもべらぼうに面白いので、ぜひ読んでください♡

またアンデッドガールマーダーファルス冒頭のアクションシーンもド好みだったのでおシェアしますね!

青崎有吾 『アンデッドガール・マーダーファルス』より

こちらは、より主観が強めの文ですネ。
地の文記事作成前に個人的な勉強のため、主観の強い箇所を青、客観の強い箇所を黄色にしていました。

三人称一元視点の、一人称と三人称の混ざり具合、これ好き~~!脳にハマる!!好みなのでおシェアしました。

たとえ同じ三人称一元視点でも、客観強めか主観強めかは、好みやそのシーンの役割によります。
ぜひ、好きな塩梅の作家さんを見つけて分析してみてください!


描写のキモは、発端→反応(→山場)→結果。

色々なところで言われていますが、公募ガイドさんが無配中(!)の「3日間で書け!超短編小説キット(2020.9月号)」に詳しく書いてあります。
全PDF、ビギナーさんに超オススメなので要チェックですワ~!

バックナンバーのページのこれ


個人的なアクション覚書でした!
気に入る話ができるように、応援してますわ~~!!

■戦闘好き好きお嬢様がたのコラム

フォーラムでおねだりしておシェアしてもらいました。【有力情報】をありがとうございます!!

・戦闘シーンのノウハウやあれそれ

【まず戦闘をする必要があるかどうか】
①戦闘シーンの前後の出来事を考える。
②その戦闘で何を見せたいか、を考える。
③戦闘シーンの必要有無を判断する。
【戦闘するパターン】
⑴ 登場キャラクターのスペックを把握する。
⑵ 個人戦か、集団戦か。
⑶ テンポは早めでダラダラさせない。でも見せ場セリフはうーーんとカッコよく!!
【戦闘しないパターン】
[1]ナレーションで終わらせる
[2]すぐに戦闘が終わった後の描写に飛ぶ。

具体例があってとても分かりやすい解説ですネ!
好き派で「人に見せる」ことを意識する場合は、むしろ必要かどうかの判断がいるんですのね……!

戦闘シーンに限らず、「好きだからこそテンポよく」の意識があると、みんなに読みやすい作品になりそう!

ご趣味としての続けやすさやおすすめ参考文献など、みんなが真似しやすいノウハウをありがとうございます!

・私はこう書いている:バトル描写手順の覚書

はじめに
このtipsは誰向けか
想定ジャンル
記事で扱う物事
1. ターン制とコミュニケーション
最重要にして唯一のルール
リアクションは台詞に限らない
「スカし」の落とし穴
2. 時間の拡縮
ターンは伸び縮みする、むしろさせる
ターン当たりの適性時間は距離にだいたい正比例する
ワンインチ距離の攻防はコンマ単位の世界
3. 実践
棋譜のすすめ
布石の置き方
とはいえ基本は一対一
結びにかえて

「キャラの棒立ち(=ノーリアクション)を見かけ上できるだけなくそう」「動作の解像度をコントロールして、時間を伸縮させる」はさすが、実際に書いているからこその提言ですネ!
(わたくしの理解:リアル時間で10分かかることを1行で書いたり、逆にリアル時間で5秒のことを何行にも緻密に描写したりする)

アクションを「ガチ」でやるなら、このように棋譜を作成するのもいいですよね。

勉強になる解説、ありがとうございました!


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