短編集の書き方~サンプル量や掲載順、再録書き下ろしについて~【同人誌の作り方】
■おたより
嬉しいメッセジまでありがとうございます❣
面白い話題なので、「オジョ式・短編集の書き方(設計思想)」について総合的に語りました。脇道にそれまくってるけどご了承くださいまし。
※個々の短編の書き方についてはコチラ
※わたくしの主観・好みが強く反映されています!
◎小説はサンプル多めがオススメ
まずは質問の趣旨に沿わない、ネット公開が主体のよくある同人活動での短編集作成の流れです。
大抵はコレですね。
最初から本を出そう!とケツイしている方ばかりではないので、気の向くままに書いたら、たまってきた。じゃあ本出すかってノリ。
これのいいところは、半分以上がネット公開作品であること。→すでにファンがいること。
小説は、パッと見おもしろさがジャッジしにくい&ページ数が多くて費用が上がりがちなので、書き手と読み手のマッチングがシビアで、大事なんです。(その分ハマってくれれば強烈に「作者買い」してくれます)
たとえば「ネット公開なしで、はじめましての状態でオフ本を出す」のと、「再録あるいは本のサンプルで、ある程度まとまった文量をネットに上げた状態で頒布」では、おそらく後者の方が手に取られやすいでしょう。
実際にある程度読んでみないと、好きな傾向かどうか、相性がいいか判断しにくいんですネ。
(これは一次創作をイメージしています。二次だと「好きなCPであることが前提」なので、そこまででもないかも)
よって、書き下ろしの新刊の場合は、サンプルとして「読者が満足できる、最初のエピソードが気持ちよく終わるところまでは最低限公開しておく」のがオススメです。
(たとえば大衆向けの探偵ものなら、一つの事件を解決するエピ、格闘ものなら試合に勝つエピ、えちえちものならえちえちシーンなど。「楽しい、嬉しい、気持ちいい」の読んだ報酬を先に渡すイメージ)
※色々なケースがあるので一概には言い切れませんが
わたくし個人の感覚ですが、ある程度ページ数のある作品だったら、そのうち半分くらいはサンプル公開しても問題ないと思います。
短編集だったら、7つのお話のうち3つはネット公開するイメージ。
◎ウェブで読めるのに再録本を出す意義
訊かれてないことすぎるのですが、語りたいので語ります!
再録本はGOODです!
そもそも「要らない人は手に取らないだけ」なので、出したい人は自分の財布が許す分には好きに出してOKOKなのです。そしたら頒布してほしい人だけが手に取るって寸法です。
ウェブは、作者本人が削除、あるいはプラットフォームの終了などで見れなくなる可能性があります。
また、ブックマークも数百数千とできるし、「思い出さなければ終わり」の儚いコンテンツ。
物質として紙の形になっていると、処分しない限りいつでも読めるし、「部屋にある」ので本棚とかを見れば目に触れるんですね。
物理的に存在するということは、結構デカい意義です。
液晶が読みやすいか紙が読みやすいかは人によるけど、いい感じの区切りや「作品を作ったぞ」という実感にもなるし、再録本を作るの、結構オススメです!(自分用に1冊作るのもアリ!)
◎再録に書き下ろし、あり派?なし派?
わたくしは書き下ろしがあると嬉しいので、自分も再録するときは書き下ろしをつける派です。
再録&書き下ろし形式の場合、「再録と書き下ろしの比率やページ数」は公開しておくと親切だと思います。
仮に、再録がほとんどで書き下ろし部分が極端に少ない場合、もしかすると「書き下ろし目当てで手に取ったのに、これだけ?」みたいな感情が生まれるおそれがあるのですが(絶対に作者に伝えちゃダメ!!!!)、事前に情報公開しておくと、読み手の方が自己判断で手に取るか否か決定できますよね。覚悟完了済みで本気で欲しい人しか手に取らず、お互いおWIN-おWINです。
漫画で昔あったのだけど、12P(表紙込み16P)の漫画のうちサンプルが8Pの作品を、ページ数を確認しないまま買って、「4Pのためにこの額を通販で……」と複雑な気持ちになったことがあります。(これはちゃんと確認しなかったわたくしが悪いです!)
また、書き下ろしナシ派の方もいらっしゃいます。
「中身は全部WEBにあるから、本としてほしい人だけ手に取ってね」というやり方。
「再録は再録」「装丁をこだわるため」「頒布数を抑えたい」「既存の話を気に入ってくれた人向け」など色々な理由や美学からで、これもまた素晴らしいですネ!
本当にどっちでもいいので、そのときそのときで選びましょう!
自分は書き下ろしアリ派ですが、本の魅力はそれだけではなく、存在そのものがエクセレントなのだと断言します!
◎本題「短編集を書く順番、工程、掲載順」
わたくしの場合、基本的には小説作品の執筆段階は、一つずつ書いて順番に完成させます。
(逆におnoteの場合は下書きをいくつも作って、書けるものから書いて書き足して、順不同に完成させる、並行的な書き方です)
短編集だったら、ある程度全体のバランスをとりたいので、書く前には全体の設計を作ります。目次を最初に作っておくイメージね。
連作短編ならこんな感じ。(てきとう)
「色々なパロディ詰め合わせ」みたいなコンセプトならこんな感じ。(てきとう)
で、これを見ながら各話のプロットを練ります。全部のプロットができたら、最初から一話ずつ執筆していきます。
後から順番を変えてもOK!たとえば、「現代日本ベースの話を前半にまとめ、後半はファンタジーなどぶっ飛んだパロにする」みたいな。
話の掲載順として、決めやすいのは最初と最後の話。
最初の話はあまり尖ったネタを選ばず、「みんなが興味を持ってくれそうなキャッチーなネタ」や「本の傾向を表すスタンダードな話」にします。
サンプルとして公開したいので、一話単体で読んで満足できる感じが理想ですネ。
最初の話は「こんな感じの本なんだ」というイメージになります。なので、「最初がほのぼの話だけど、以降全部血みどろの殺戮」みたいなのはよほどじゃなければ避けましょう。(「サンプル詐欺」みたいになっちゃうので)
最後の話は本全体の満足感、読後感に影響するので、「(いちゃいちゃなどが)本の中でいちばん豪華」、「ハピエンでいい気分になって本を閉じてもらう」など考えて設計します。(大衆向けエンタメが好きなわたくしの場合)
中間の並び順はそんなに気にしなくていいけれど、尖った話は真ん中あたりに入れがちです。
あと、たとえばえちえちと全年齢の話のごった煮だったら、疲れないように&興味を継続して持ってもらえるように工夫します。たとえば全年齢話のほうが多ければ、要所要所にえちえちを挟むイメージ。
ダレそうなタイミングで読者サービスを入れて、継続的に読んでもらうイメージ。
これは長編の書き方だけど、同じ考えです↓
◎短編につながりを持たせるには?
上記は「短編集を作るぞ!」という意志を持った状態での書き方解説です。
この場合は設計段階で、好きなだけ繋がりや統一感のあるモチーフをいれることができます。
たとえばタイトルを色や季節の名前でそろえるとか、全部ABの食事の話にするとか、前の話の最後のセリフが、次の話の最初のセリフになる……とかですね。
統一感があるとステキになりますネ!
逆に、それぞれ単発で書いた、バラバラな短編をまとめると……まとまりがない!そんなこともあります。
短編集の仕組み的に普通そういうもんなので全然OKなのですが、繋がりを持たせたいな~という方もいるでしょう。
(短編集だと思って読んでた怪談本に、最後の章で「今までのは全部繋がってたんだああああ!」とされてシビれた経験があり、憧れています)
(もちろん繋がりのない作品もステキです!)
手っ取り早いのは、「同一世界線のできごとにする」ですね。
また、パロなど世界が違うよ!という場合は、なんとか全体にテーマや一貫性を持たせることも検討しましょう。無理やりでも後付けでも、後から書き加えてもOK!
そういえば、全部「過去の傷をいやすこと」を大事にしてるな、とか。必ず受けが「バカ!嫌い!」て言ってるな、とか。なんでもいいです。
そしたら、「〇〇をテーマにした短編集です!」というラベル付けができて、宣伝しやすくなります。
この地の文記事の有料部分になっていまいますが、「◎一貫したモチーフを使うオシャレ」で「連絡短編集にひとつのモチーフを通底させる」トピックがあります。
連想のメタファーをいれるのは激エモなので、ちょっと凝りたいなというときは参考にしてみてネ!
というわけで脱線しまくりましたが、短編集の書き方について。
わたくしの場合は「最初に全体の話を考え、だいたいプロットも先に作っておく。本文の執筆については、一話ずつ順番に書いて完成させる」が多いですネ。
人によって書きやすいやり方は異なるので、色々試してみてネ♡
最後、いい作品が完成すれば過程はなんでもいいのです。
素敵な短編集ができるように、応援してますわネ!