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何を見ても何かを思いだす

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ここで週1(金曜夜更新)でエッセイを書いていこうと思っています。 「何を見ても何かを思いだす」というのは、ヘミングウェイの短編のタイトルで、高見浩さんの訳です。このタイトルを見た… もっと読む
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記事一覧

notoで連載したエッセイが本になります!

 notoで連載したエッセイが、本になります!  お読みくださった皆様のおかげです。  誠にあ…

頭木弘樹
3か月前
57

「ベタをネタに」

ティッシュがなくなっただけなのに…… まだ少し残っていると思っていたティッシュをとると、…

頭木弘樹
7か月前
149

死んだ人からの意見

その瞬間、本望ではないことに気づいた 海で死ぬなら、本望だと思っていた。  本気でそう思…

頭木弘樹
7か月前
169

とろ火の不幸

 強火で一気にみたいな不幸にはみんな同情してくれる。  しかし、とろ火でじっくりみたいな…

頭木弘樹
7か月前
127

大好きな先生がいましたか?

なぜ先生をそんなに好きになれるの? 小学校のときも、中学校のときも、高校のときも、大学の…

頭木弘樹
7か月前
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違和感を抱いている人に聞け!

心だけでも旅しようと思ったら 旅行記が苦手だとずっと思っていた。  入院中、お見舞いで旅…

頭木弘樹
8か月前
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「死んだほうがまし」な人生を、どう生きていくか?

「死んだほうがまし」という素直な感想「あなたのような人生なら、死んだほうがましだ」ということを、おそらく100回以上は言われてきた。  これは私に限らず、病気や障害のある人なら、たいてい何度となく言われているだろう。病院の六人部屋でも、またかというほど、よく耳にした。言うぞ言うぞと思っていると、やっぱり言ったりする。  そんなひどいことを口に出す人はいないでしょう? と思うかもしれない。たしかに、内心で思っても、口に出せることではない。  しかし、もっと軽い言い方で、つい

電話ボックスとともに消えた人間の身体

 私が大学生の頃、まだ世の中には電話ボックスというものがたくさんあった。  電話ボックス…

頭木弘樹
8か月前
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名作の連鎖

写真家 大辻清司 大学生のときに、少しだけ写真を習っていたことがある。  大辻清司という先…

頭木弘樹
9か月前
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失うことができないものを失ってしまったとき、どうしたらいいのか?

失うことができない大切なもの 人生で「これだけは失いたくない」という大切なものが、誰でも…

頭木弘樹
9か月前
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人生でがんばりたいのは、そんなことではなかった

 どなたが書いたものだったか、申し訳ないことに、もうわからなくなってしまったのが、たしか…

頭木弘樹
9か月前
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暗い道は暗いまま歩くほうがいい

まるで間違ったことを言っていた 以前、私はこんなふうに言ったり書いたりしていた。  暗闇…

頭木弘樹
10か月前
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幻影三題

〝死〟と〝性〟 以前に住んでいたところは、駅前に仏壇屋とソープランドが並んでいた。 〝死…

頭木弘樹
10か月前
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もうひとりの自分

もうひとりの自分の背中 もうひとりの自分といっしょに歩いている人は、きっと多いだろう。  私は二十歳のときからだ。  二十歳で難病になったときから、「難病にならなかった場合の自分」という、もうひとりの自分の姿を思い描くようになった。  別の人生の道を歩いていく、もうひとりの自分の背中が見える。  その自分は、いったいどんな人生を歩いているのか。  少なくとも、今の自分よりは幸せで、その幸せに気づかないくらい無邪気だっただろう。  こういう思いにとらわれるのは、なにも病気に