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フライパンの神さま。

 オムライスを作る時、私はいつも鉄のフライパンに卵がくっつかないよう、細心の注意を払う。
 今日も今日とて機嫌の悪いガビガビの鉄のフライパン(私は調理器具の手入れというものを知らない)に油を引いてる時、ふと「フライパンの神に祈りを捧げれば綺麗に卵を焼けるのでは???」という考えが脳裏に浮かんだ。
 当然そんな非科学的なことを真剣に信じ切ることができるような人間ではないので、いつも通り大量の油を引いて無心で調理に徹した。だが、もし私が迷信深かったり、文明レベルが幾分か劣った時代や国に生まれていたりしたら、オムライスを作るたびにフライパンの神へ祈りを捧げるような人間になっていたかもしれない。そんな自分の姿を想像してみたら、なんだか少しほっこりした。
 まぁ、そんなわけないか。

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