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小野美由紀「ピュア」装画

「わたくしはもしかして、歴史的出来事に関わってるのではないかしら?」
と、少し泣いた

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早川書房、SFマガジンの溝口様から
『作品は小野美由紀さんの「ピュア」  という読み切りSFで、
遠い未来、人間の形が変わって女性が男性を「食べる」ようになった
世界での生殖や恋愛のありようをえがく作品です』

「官能的に描いていただけたら作品の雰囲気に合うかと…」
とのご注文

読んですぐに、とても感動した
まさにジェンダーSF物語
作品にもですが、若き女性がこの物語を描いた
これがどれだけ凄いことか
「凄い人が出てきた」と一人興奮しておりました

本当にタイトル通り「ピュア」
善も悪も、ジェンダーも、差別や区別、選民
食べること、生殖も
純粋な心の中で表現され
どこまでもピュア
眩しくて血みどろ
それでも世界は美しい

それを、現実語りで比較とかするわけでもなく
ただただ、描いてる
その世界を

それがとても凄いことで

でも、この中から、強いメッセージが伝わってくる

とても興奮したのを今でも覚えてる
横になってからも
「わたくしはもしかして、歴史的出来事に関わってるのではないかしら?」
と、少し泣いた

嬉しくて、そして本当に、とても光栄でした

気づくと、webで凄い勢いで話題となり
海外での翻訳・発行も決まったそうです

書籍の装画まで描かせていただき
わたくしの中で、強く記憶に残る一冊となりました

その装画について
文字にしようと思います

雑誌扉絵

雑誌扉絵は
読んですぐに、官能的な女性、胸は剥き出しに、手の鱗と
そしてなんとなく、世界の夜明けと、3人の女性のシルエットをイメージ

気に入っていただけたら
と、毎回いつも思いながら、提出しました

スクリーンショット 2021-06-04 20.57.12

単行本装画

装画に関して
「扉絵そのままな感じでも良い」というご希望もあり
色々悩みつつ
2案提出しました

1案目
扉絵のまま、女性のアップを
小野美由紀様も、扉絵の時、初めからイメージが強くあったようで
引き続き熱い思いでご希望を伝えていただきました
「扉絵のままでもいいくらい!
宝石のようなイメージで、大胆にアップで一人、
もしくはバストアップ正面!
このイメージにめちゃくちゃ惹かれます!キラキラした宝石のような感じで、エメラルドとか、
バーンと華やかな感じがいいなと思います」
とのお言葉いただき

そこに、物語の中心にある、性と出産
女性の骨盤と子宮をシルエットとラインで重ねてみました
なんとなくわかるでしょうか?
でもそのシルエットの形を顔に乗せたら
またモンスター感が出て
いい感じになりました

それと肉食っぽく
なんとなく目の位置を少し話して
ライオンなどのような感じに
鼻筋、子宮のラインも、そう物的な良い位置に配置しました

他にとにかく、目を印象的に、強くと、何度も描き直しました
牙や爪もあったのですが、異様すぎると読者を限定しそうで
そこは無くしてみたことはお伝えしました

こちらは色で迷い、ピンクとグリーンも提出

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2案目

たくさんの女性たち
その中で一人振り返る強い女性
というイメージで
キラキラとした

女性たちの髪が全て繋がってる
髪はシンボルで意思
意思や目的、精神を共有している
その中で一人だけ外れて、後ろを振り返る女性
何かに、この世界の違和感、愛に気づいた一人
肉感的で強い女性
でも完全に裸体に見えないように、あとで体に鱗模様をデザイン的に入れようかとも考えてました

それと小野さんの物語を読んでいて
マクロスの巨大で強く美しい女性像も
わたくしの中でイメージがリンクしており
そんな風に描けたらいいなという気持ちもありました

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1案目が採用され
最終的に選ばれたものが、こちらになります
緑やピンクが強すぎるので
背景白で薄くとご希望があったと記憶してます

そしてデザインへと
最終的な色味は、デザイナー様の方で、色々いじって頂きました

あまり描かないタイプの絵だったので
とても楽しく
そして良い経験をさせて頂きました

これからも小野美由紀さんが産み続ける作品の数々が
とても楽しみで仕方ありません

ご興味持っていただけたら
ぜひ、手にとって読んでいただきたいです

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