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#大間産クロマグロ

大間マグロの謎を解く⑥ヤミ漁獲問題を青森県が検察庁と協議~スシローの調査開始が契機か?

大間マグロの謎を解く⑥ヤミ漁獲問題を青森県が検察庁と協議~スシローの調査開始が契機か?

 青森県農林水産部は今年3月17日付で「クロマグロ漁獲量の未報告について」とするメモを作成し、知事ら県庁首脳に回覧しました。問題の経緯と水産庁からの助言内容、それに検討対応案を記しています。

知事らにも報告した文書の内容とは?

 参考資料4枚を含めて計5枚の文書です。うち2枚は漁業法など関連法規の抜粋で、漁業法の抜粋箇所は第30条(漁獲量等の報告)、第128条(漁業監督公務員)、第176条(報

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大間マグロの謎を解く⑤漁協の出荷シェア3割~脇売り業者隆盛の背景「ヤミ漁獲」

大間マグロの謎を解く⑤漁協の出荷シェア3割~脇売り業者隆盛の背景「ヤミ漁獲」

 大間でのヤミ漁獲の調査が長引いているもう1つの原因は、その問題の根深さにあります。昔からヤミ漁獲が当たり前のように行われていたのです。

「大間漁協の前で水揚げをみていたって、全部がわかるわけじゃないからね」

 2014年12月下旬、翌年から始まる沿岸漁業へのクロマグロ漁獲規制の影響を大間漁協周辺で取材していると、ある寿司屋の店主がいいました。

「マグロを揚げる場所は何カ所もあるんだよ。教え

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大間マグロの謎を解く④「捜査官」派遣で未報告が新たに40トン判明か⁉

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 2016年には長崎県・対馬、2017年には北海道・松前でヤミ漁獲が発覚したことがあります。当時は水産庁が調査を始めてから1~2カ月後には違反事実の概要を発表し、自治体や漁協に再発防止を約束させました。

 今回、青森県大間町で発覚したヤミ漁獲は、2021年9月から調査が始まっているのにいまだに違反事実が公表されていません。

 大間と対馬や松前との違いはなんでしょう?

 1つは、2018年にク

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大間マグロの謎を解く③漁業法違反を「もみ消す」前科~青森県の指導・監督に甘さ

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 静岡市中央卸売市場に入荷した大間産マグロは2021年8月、9月の2カ月間でおよそ60トンにのぼります。出荷したのは大間の産地仲買人のS社とU社です。静岡市場の卸2社のうち日本水産が大株主に名を連ねている三共水産に販売を委託しました。

 60トンという数量は大間町の漁業者に認められた年間のクロマグロ漁獲上限量(大間、奥戸の2漁協合計で約270トン)の2割超にあたります。

時期は夏場です。年末・

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