『六人の嘘つきな大学生』と月の裏表

ずっと気になっていた小説をオーディブルで昨日の夜10時から聴き始めて、今朝聴き終わりました。

「これは確かに感想を話したくなる一冊だなぁ」と納得しています🤔

月の表と裏側のように、人の普段見えている面と見えていない面について書かれていて

どちらかの面だけを見て、その人の全てを決めつけてしまうことの危うさと

誰かの人格を決めつけてしまうことが起こるのは、例え小説の舞台のように時間や場所などの制限がなかったとしても

人間の認知的節約という性質からも、自分で調べるよりも与えられた情報を鵜呑みにする方が楽だということ

相手への関心がそこまでなければ、簡単に起こり得ることだと思います。

自分が現場を見たわけでもなければ、記録映像も何も残っていない状況について話すことは、妄想と言われても仕方がないという前提で話すしかなく

けれど、写真だけを見て相手の全てを決めつけることもまた、妄想と何も変わらないのではないか…。


映画「Winny」に出てくる弁護士さんのように様々なことを調べたり、本人と話さない限りは本当のことなんて分からないと思うから

何も関係のない立場で誰かの悪評を鵜呑みにしてしまうことも、それを誰かに伝えようとすることも

「月の一面だけを見て話しているのではないか?」

という疑問を持つことで、防ぐことが出来るのかもしれない。

そう思える人が増えたら、世の中がもう少し生きやすくなるんじゃないかなと思いました。


この連休中は仕事と地区の行事で慌ただしくてニュースを見る時間が少なかったからか

小説に興味を持てるくらいには心の余裕ができて、話にも没頭するように聴くことができました。

自分が無事でいることに対して漠然とした罪悪感を抱えていると、普段は楽しく眺めていたXの読書垢のタイムラインを見るのもツラくて

ずっと地震に関する記事ばかりを眺める日が続いていたのですが、気持ちが落ち着いて眠れるようになってからは小説を読めるようになって

本を読める精神状態にあるというだけでも、色んな些細なことの積み重ねで成り立っているんだなぁと実感しました。

本を読むことは当たり前に出来ることだと思っていたけれど、心がある程度安定していないと難しいものだったんですね。

いつもと同じ、変わらない毎日は単調で飽きてしまいそうになることもあるけれど

変わらない日常に支えられていることが一体どれだけあるのか、失うまで気付けないのは悲しいので

今の気持ちもまた、時間が経てば忘れてしまうから、覚えているうちに少しでも書き留めておこうと思います。

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