マガジンのカバー画像

152
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

【詩】spring

【詩】spring

ふみえって良い名前だね

どう漢字で書くの

おかっぱ頭の彼女は

徐ろにCampusを開いた

ペンを持つ歪に丸めた手のカタチが

小動物の赤ん坊のように生々しくて

身体の奥底がかつんとする

涙を堪えた時の鼻の奥と同じ

痛い

踏絵よ

いつのまにか顔をあげていた彼女は

目と眉の間が近くフランス人形のようだった

目と眉はお互い惹かれあうように

どんどん近づいていった

2つは入り混じ

もっとみる
【詩】オランピア

【詩】オランピア

いつまで経っても治らないブヨの差し跡は

オランピアの乳首

膨らんだ頬の切先についた赤い蕾

咲いてないのに枯れるわけはなく

ずっとそこにある

咲かなくても枯れることもある?

そんな悲しいこと言わないで

【詩】偽物

【詩】偽物

雨の日に見た虹は

クレーン車のかたちをしていた

ミントグリーン

カナリアイエロー

マンダリンオレンジ

仲良くならんで首をもたげている

晴れの日には気づかないことが

雨の日には明確に見えてくる

偽物の虹を心に刻む

明日はきっと

晴れますように

【詩】my cowboy

【詩】my cowboy

長いまつ毛が

ぐるぐる回る

余計な物を見ないですむよう

ぐるぐる

ぐるぐる

盲いてエリーゼのために

見たくないの

見られたくないの

だって私は空洞だから

ドーナツだって穴が空いているよ

そう言ってくれたあなたが

卵アレルギーで

ドーナツを食べられないっていうのは

ここだけの話

【詩】恋の病

【詩】恋の病

執着の終活

ぬるま湯からダイブする雪原

思い出が誘発する家畜の習性

染み付いてとれない獣の臭い

銃声に怯える日々はもうこりごり

動物農場を抜け出す私はベイブ

追い込み優勝牧羊犬コンテスト

自由への道はまだ始まったばかり

サルトルは語る

“運命に唾を吐け“

理屈でスクラブしても消えない煩悩

未明未定を言い訳に量産する春画

擦られ過ぎて鳥肌が立つよブロイラー

爆破擬人化

もっとみる
【詩】公転

【詩】公転

うんざりが巡回し

私という惑星の周りを廻り続ける

ループ ループ ループ

バターのようlover

巡回が純愛に変わる

そんなトリック見てみたい

法外な後悔は

未来へツケに回して

今はただ全力でやり過ごすmove

【詩】虹色蛆虫

【詩】虹色蛆虫

恋を失ったあの日から

言葉が産まれなくなっていった

色付きだった世界から

少しずつ色彩が欠けていく

死骸に群がる虹色の蛆虫たち

少しずつ消えていく

いつしか白と黒

そしてほんの少しの線しか残らない

いつも何時もどんなときでも

“少しだけ足りない“

その気持ちだけ

小さく閃き閉じていった