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已己巳己

一番古い記憶は、ここ京都・貴船神社の参道で、手を引かれて石段を登る記憶だ。

はらはらと雪が降り、辺り一面真っ白で、ほうっと吐く息も白かったが、等間隔に並ぶ赤い灯篭はじんわりとオレンジの灯りを滲ませていて、なんとなく温かく感じる。

隣には自慢のママ。
ママにそっくりと言われるのが誇らしかった。


いつからか、ママとは少しずつ距離ができ、あまり話さなくなった。

20歳の誕生日。
ママに誘われ、2人で赤ワインを飲む。
紙のアルバムのページを捲り、ポツポツと言葉が溢れる。

私が生まれた日のこと。寝顔を眺めるのが大好きだったこと。今でも私が世界一大切なこと。

ママに劣等感を抱くようになり、上手く話せなくなったこと。ママの唐揚げが大好きなこと。ママが大好きなこと。

泣きながら横を見ると、ママも泣いていた。

一番古いアルバムを開くと、貴船神社で振袖姿の女の子が不器用な笑顔を向けていた。

20歳のママは私にそっくりだった。

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