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手話考察 No.6 : キモチをまとめる”読点”と”うなずき”

梅雨明け…と思いきや、
ちらほら雨が続いていますねえ。
農作物が育つにはいいのですが。(笑)

実は、最近農業の世界に半歩ほど
足を踏み入れました。笑
興味のある方、一緒にやりましょう!

ちなみに沖縄での梅雨明けは、
例年より12日も早いそうで!
農園アドバイザーの方は、
「今年は収穫無理かもなあ…」
とこぼしておられたのと、
周りで体調を崩される方が増えていたのとは、
天候の異変と何かしら関係がありそう…?
皆さま、お気をつけください〜。

さて、手話指導をしていて気づいたことをば。

今回の記事は、
前回2020年5月9日記事の、
うなずきの効用”の続編(?)として
ご覧いただければなあと思います。

本日のお題に入りましょう。

学校の先生ときこえない母親との二者面談。
間に手話通訳がいる、という背景設定。

まずはウォーミングアップ!

先生「”息子さん”の偏差値は…」

まず、”息子”ときいて、ついつい、
ご自分の体から男の子が生まれてくるような
手話表現をされませんでしたか〜?

その表現ですと、
視覚・位置的には”先生の息子”(!)
となってしまう恐れがあります。

「そうじゃないことくらい、
 背景や流れでわかると思うけど…」

いやはや、おっしゃる通りなのですが、

普段から空間配置を意識するクセをつけるには、
こういうささいな所から意識づけて、
少しずつ直していく方がいい。

と思うのです。

母親に向けて手を差し出し、
”息子”と表現することで、
”あなた(母親)の息子”と、
よりグッと丁寧かつ具体的な表現になると思います。

では、本題。(やっとかよ。)

「弟は兄と同じ高校に行きたいと思っています。」

この文章を、うなずき無しで淡々と
表現してみてください。
その後、どういうことを言っているのか、
1分ほど考えてみてください。

いかがでしたか?
2通りの読み方ができたのではないかなと思います。

① 弟と兄はどちらもまだ中学生で、
同じ高校を目指したい。
② 弟は中学生で、高校生である兄の学校を
目指したい。

…ごめんなさい。
実は、問題文にいたずらを仕掛けていました。

本当の文は、
「弟は、兄と同じ高校に行きたいと思っています。」
でした。

そう、読点を省いていたんです。
つまり、②が本来の意味です。

なぜ、読点を省いたのか。
それは、

手話の”うなずき”は、
日本語文での”読点”に似た働きをしているのでは?

ということを、
実感していただきやすくするためでした。

つまり、この文の手話表現は、

弟/うなずき/兄/同じ/高校/進む(上がる)/希望(したい)

と、なるのではないでしょうか。
”行く”といっても、文化祭とかで、
学校に遊びに”行く”という意味合いではなく、
進学・進級の意味合いから、
”進む”または”上がる”の手話表現をあてました。

ちなみに、読点のことについて少し調べてみると、
句読点そのものが国内で使われ始めたのは、
明治20(1887)年〜30(1897)年。
1906(明治38)年に文部省が「句読点法案」
出し、公的に句読点の置き方が
示されたのにはびっくり!!

キモチを大切にする、
文学作品での句読点の普及は早く、
かたや、情報量を大切にする、

新聞での句読点の普及は遅かったとか。

句読点はキモチの記号なのでは…?という
示唆に富んだ内容で、大変興味深いですねえ!

また、句読点やカギかっこのような記号を
約物(やくもの)と言うそうです。

”約”は”要約”のように、
「まとめる」という意味もあることから、
ひょっとすると、

読点は”区切り”と俗に言われていますが、
実は…

読点の前の部分のまとまりと、
読点の後の部分のまとまりを、
同時に作り出し、なおかつ、
2つのまとまりをゆるく結ぶ。

…のかもしれませんねえ〜。

つまるところ、
手話でのうなずきも、日本文での読点と同じく、
キモチをもまとめる”約物”なのかもしれませんねえ!

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