数学はなんの役に立つなんか聞くんじゃねぇ ~数式は言葉編(2)~
前回のまとめ
数式に使われる記号は略記としてできた、つまり数式というのは意味のある文章と言え、数式を書くという行為は文章を書くという行為だ。
あと数式は文章であるが、抽象化するから抽象的な内容を表す文章として最適なのである。
なのでいろんな具体的なものに応用できるんだ。
今回の記事の目的
前回ナンバリングして、今回数理論理学のちょっと詳しい解説と数学基礎論をおすすめする記事を書く予定だったけど、そのために読もうとした集合論という参考書が読み終わらないから、集合論、群論、位相空間論をゆるく説明しながら、抽象的な概念を数学が表現していくのを見せていきたいです。
まずは集合
現代的な数学では、まず形式化が重要になります。なので、そんなことする意味あるのかというくらいに少しずつ数学の土台を作っていきます。
19世紀以降の数学者はものの集まりを使って形式化するのに可能性を見出したようで、ものの集まりつまり集合を使って数学の土台を作っていきます。詳しい集合論についてはここでは詳しくは説明しません。
ZFCという名前がつけられたルール群、所謂公理系に従う集合を扱うのが現代では一番ノーマルな数学になります。私が以前書いたオブジェクト指向の記事ではラッセルの考えた型理論をちょっと紹介したけど、型理論も公理系です。ちょっと使いづらいところがあるので、現代では使われません。その改良型の型システムはプログラミングの理論で使われてます。
話を戻すと集合で数を定義もするし、数の大きさも集合と公理から定義します。数学のありとあらゆる可能性は集合の中に包含されています。
写像や選好等の概念も集合の操作や性質として定義されます。
{n∈N∣1≤n≤5}
上は1〜5の集合になります。
前回は四則演算が文の略記であると言いましたが、集合さえ略記をつかって書けます。集合の要素にインデックスが付いたら列と呼ばれます。プログラミングではこれを配列と呼びます。
ここで、そのままプログラミングとの関係を書いていって、カラー・ハワード同型対応の話をして数式が如何に表現豊かなものかを示していってもいいけど、今回は抽象的な特徴を付与した集合から演算や遠近とか接続とか空間等という抽象的なものの記述ができることを示して数学というものを抽象的な思考体系と言えることを書きたいです。
集合に演算を定義して群にする
群は本当に抽象的な操作を持つ集合といってもいいものです。ここでいうものを数学もしくは欧米ではオブジェクトといいます。例えば群や列のようなオブジェクトという表現が可能です。
x,y,z,e∈G
x∗(y∗z)=(x∗y)∗z
e∗x=x∗e=x(x∈G)
x∗y=y∗x=e
上を満たすような要素を持つ集合 (G,∗)を群と呼びます。
つまり、演算を定義した集合を数式で表現できます。前回説明したように、式というのは略としての役割があります。つまり、
位相空間論を学べば近いとか連続とかつながるとかを数式で表現できるし、抽象的な意味での平面や空間について理解できる
長文タイトルのラノベが始まるのかというレベルの長文な見出しですが、まさに書いた通りで位相空間は以下のように定義されます。
近いとか連続がわかると何がうれしいかというと微分積分や面積、体積とは何かということがわかります。微分積分や面積、体積が何かわかると何をそれらに例えることができるか判断ができます。現代的な確率論は面積、体積を確率で表現することで計算しています。
数学とは抽象思考を数や式をつかって表現すること
数式というより、数学それ自体が抽象思考を表現する道具になります。
数学からグラフや図も導けます。グラフ理論や圏論はパワポ職人のパワポ並みの情報をコンパクト伝えられるポテンシャルを持ってます。
これにて数式は言葉編は完結
この数式は言葉編でやりたかったことをとりあえずやり切ったので、これにて完結です。今まで読んでくれた人にはわかっていると思いますが、数式が言葉で数学の1分野とは抽象概念であるといえます。
数学の研究とは概念の獲得もしくはそれにつながる発見といえなくもないです。人は概念から現実のものを使って物理的にものを作り出す能力があります。ならば、数学は実社会に役立つでしょう。でもなんの役に立つかは決まってないのです。どんな概念がどんなもののもとになるかは、ある意味人ごとに違います。なら、数学が何の役に立つと聞くのではなくて、個々人で考えるべきなんでしょう。
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