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2020年の30年後か、2050年の30年前か──今の捉え方とデザインのあり方

東京オリンピックを控えた2020年の元旦は、まるで未来を予測していたかのようにピタリと開催年を当てたアニメ映画版AKIRAの鑑賞からからスタートした。
30年以上も前に原作マンガを描きながら制作されたこの映画は、第三次世界大戦以後の復興途中である関東と東京湾上に建設されたネオ東京を舞台に、倫理観を超えた科学技術の発展によって引き起こされる超自然的な事件を描いている。
AKIRAで描かれる舞台は奇しくも、東日本大震災とその復興、政治と金、体制と反体制、行きすぎたテクノロジーへの警鐘などが指摘される現在と共通点が多い。リスク分析とも読み取れるようなAKIRAをすでに手に入れていたにも関わらず、さまざまな社会課題が顕在化した2019年に私たちが具体的に実行できたことはあまりにも少なかったことを反省せざるを得ない。
それでは、今から30年後にあたる2050年をどのように迎えることが出来るだろうか。あるべき2050年の未来像〈ビジョン〉から逆算し、宇宙規模>世界規模>国家規模>地方規模、物理空間から情報空間まで、マイルストーンを設定するにはもはや単一の解答などあり得ない。
さまざまなスケールでなされる未来予測には、人類が原因となる気候変動による被害といった絶望的なものもある。しかし、世界的なリサーチ組織NestaのCEOであるGeoff Mulganは、テクノロジーで気候変動は解決できないが、未来の社会に必要な変化を描くことはできると、現実と付き合い続ける智恵の大切さを説く。政府や地方行政に任せるのではなく、事業者や生活者レベルにまでインフラが整った未来を目指している[*1]。そこにはどのような生活があるのだろうか、建築やデザインに、あるいは事業者としてなにが出来るのかとイメージを掻き立たせられる。
活動拠点のひとつである名古屋市は先日、「名古屋市総合計画2023」を発表した。2027年のリニア開通を控えた今にしては、いささか漸進主義的な慎ましい計画だ。それでは、私たちはリニア以後の未来を、複雑で強大な社会課題が眼前に迫る今、どのような課題に取り組むことを宣言し、いかなるビジョンを提示することが可能だろうか。

2020年は名古屋を拠点に活動する建築家らとともに(情報・法律・医療福祉・交通など増えたら嬉しい)、超包括的な視点で未来の都市像を名古屋から検討する勉強会的なものを継続的におこなう予定だ。参加型のイベントを2020年1月18日[土] 16:00-18:00に予定しているので、興味がある方はぜひ参加してもらいたい。そのうちアンビエントデザインズのFbページで告知されるはずです。

今年は少しずつ発信を増やそうと思ってnoteをひらいたら書きすぎてしまいました。もっとカジュアルな建築・デザイン、まちづくりなどや日常はブログの「ケンチククラブ」に書き記していきます。こちらもどうぞよろしく。(アイキャッチはAKIRAの写真を撮り忘れたので、同じく出向いた宝塚市手塚治虫記念館の1枚から)

[*1] Nestaでは、複雑な社会課題を「ともに」考える未来洞察の手法を民主化する試みを始めている。
https://www.nesta.org.uk/blog/new-platforms-public-imagination/

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