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「トラウマは存在しない」の誤解がすぐ解ける解説

アドラー嫌いの多くの人が引っかかっているであろう箇所、それがこのタイトルの「トラウマは存在しない」というパワーワードのせいではないでしょうか?トラウマがないって?いや、あるに決まってる!と誰しもが思う。

そうなんです。実はこの言葉、完全なる言葉の一人歩きです。いやむしろ釣りといっても過言ではない。実際、”嫌われる勇気”では

トラウマが及ぼす影響はもちろんゼロではなく強くある

と、トラウマの影響を認めています。詳しくはこの記事(https://note.com/kasaneweb/n/n3f2fee3753c4)でも書いています。

❖ ちなみに、アドラー心理学と言っていますが、日本では嫌われる勇気がアドラー心理学の代名詞のようになっているので、嫌われる勇気の本のことをアドラー心理学と言っていますが、実際には嫌われる勇気を書いた筆者・岸見 一郎さんの解釈や思考が入っている本になります。

話を戻して、トラウマは存在しない!と言いきっているのに、本の中では実はトラウマの影響を認めているとはどういう意味かというと、

「今や未来は過去のトラウマによって”決定”されてしまうものではない。」

といった意味合い。なぜなら、もし過去のトラウマのせいで鬱になっていてそれが変えられないことだとしたら、タイムマシーンで過去に戻らない限りあなたはずっと鬱のままという事になってしまう。

「変えられないこと」にフォーカスするのではなく、「変えられること」(可能性)にフォーカスを当てよう

という考え。

「大切なのは何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」

とあるように、過去に何があったかというではなく、今この状からどう変えていくかを考えるという感じです。

なので、トラウマがあったのはわかる。それによって心理や体調に影響を及ぼすことも認めます。でも、だからと言ってあなたの人生が決定されるわけではないよ。これからでも考え方を変えていけば幸せになれますよ!

という前向きに考えようという内容です。
これがざっと、トラウマは存在しないの実際の意味でした。

🔲🔲🔲なるほど。もう少し詳しく見てやってもいいかなと思い直した方はこの下もどうぞ🔲🔲🔲

もしあなたがカウンセリングに行って、「鬱で外に出ることができない。」と相談した時に、カウンセラーに「それは過去の虐待が原因ですね☺」と言われたところで何の解決にもならない。

風邪で医者にかかってのどが痛くて頭が痛いですと医者に言ったら「それは昨日薄着で寝たからですね☺」と言われて終わりという事になります。それを聞いてあなたは「そっか、薄着で寝たせいか。じゃーしょうがないな。」とはなりませんよね。欲しいのは原因を知ることではなく、今のこの辛い状況を変えてくれる方法ですよね?という話。原因が分かってすっきりするかもしれないが、それでは問題の解決にはならない。

ではどうしたらいいのかというと、

過去に虐待を受けた人は全員鬱で引きこもりになるのか?すべての人がその運命から逃れられないのか?という問いに対し、アドラーはそうではない。過去に起こった事実は変えることができない。これはどうしようもない事だとわりきって、その起こった過去の出来事に対し、自分がどういう解釈をするか(意味を与えるか)ということは変えらる。その変えられる部分にフォーカスして今これからの未来を明るくしていこう。という考え。

「虐待のせいで、親のせいで私の人生は何もうまくいかないんだ。」という意味付けをするか、「この経験があったから私は人にやさしくなれた。」「人の痛みをわかってあげることができて人の助けになれる。」と同じ過去に別のポジティブな意味づけをするのかは、唯一の主観であるあなただけが決められること。このラベルを張り替えられるのはあなたしかいないという意味で、自分の人生は自分で選んで決めることができる。

背が低いことに劣等感を持っていたアドラー。背が低いという「客観的な事実」は変えることはできないけど、「背が低いからいい人生が送れない。」「背が低いから人にばかにされる。」と考えるか、「背が低いからこそ人に威圧感を与えずリラックスしてカウンセリングを受けてもらうことができる。」という風に考えるかはあなたに選択権がある。与えられている環境をどうとらえるかははあなたの「主観」によるもので、あなた次第。だから、過去にどんな出来事があったとしても今や未来は変えることができる。という話でした。

(➡これらを要約すると、「トラウマは存在しない」「過去なんて関係ない」となります。って、いやさすがにもう少し言葉を変えてほしい・・・)

ここまで読むと、「トラウマは存在しない」など言い切っている表現がいかに誤解しやすいく釣りっぽいということが分かり、なるほどそういう事ねと少し腑に落ちたかと思います。

勿論これが絶対の考え方で正しいというわけではなく、今の辛い状況を打開する哲学や心理学の考え方の一つとしてとらえるといいと思います。(どちらかというと心理学というよりは哲学よりな気がします。)

余談ですが、ぶっちゃけこの理論は心が疲れた・辛い出来事があった軽度から中度くらいの症状がある現代人にとってはいいかもしれませんが、本当に深刻な鬱やPTSDなどを抱えた人には余り響かないと思います。トラウマを否定されるとか過去は関係ないとか言われたらそれだけで悪化しそうな気がしますし、理解はできても実践をするハードルがとても高いと思いました。

でも、過去は変えられないけど過去をどう考えるかは自分次第でいくらでも変えることができるというのはとてもポジティブでいいですよね!✨

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