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ゆずらない一口。

「物心がついた時には、作っていましたね」
家にいれば、料理をしていた幼少時代。
生まれながらの料理人。

葛飾人。第13弾。
葛飾で過ごす人"葛飾人"に想いを聴き、noteに書き溜めていく。
一人一人の想いが混じり合い、町はできていて、
変わるところ、変わらないところが交差しながら今日も時が紡がれていく。
その日々をnoteに綴っていく。

職人気質のパティシエが誰にもゆずらないのは、最初の一口。
本当に美味しいものは、一口目で理屈なしに「美味しい!」。
自身の感覚も研ぎ澄まし続ける池田浩和さん。

「誰に言われるもなく、料理をしていましたね」
幼少時代に台所に立つのは、母にお手伝いを頼まれて...
が、最初の一歩だという人が多いのではないだろうか。
池田さんは自ら料理を始めた。きっかけは覚えていない、自然と。

「絵を描くことも好きでしたね」
と、手先の器用さは、幼少時代から身に付けていた。
天性だけでは、ゆずれない一口は生まれない。
調味料でもない何かが加味されて、完成に近く。

両親は、自営業。
商売を続けることの大変さを目の当たりにしていた。
好きな料理を仕事として食べていくことを、反対された。

ただどうしても譲れなかった。
生まれながらにして持ち合わせた技術と感性が他の道に
進むことを許さなかった。

大学4年生の1年間。周りは就職活動をする中、
調理の専門学校に通い始める。焦りはない。
自身の技術を毎日磨けるなんて、夢のような日々だ。

繊細な職人気質の池田さんは、日本料理の道へ進む。
ある日、テレビを観ていて、徐々に惹かれる世界が目の前に広がる。
粉や液体を混ぜ合わせていくと、
見た目も味も全く違うものに仕上がっていく「お菓子」。
パティシエのきめ細やかさに職人の血が騒ぐ。

「これだ」
パテティシエへの道に導いてくれたのは、
テレビ番組「王様のレストラン」。
『ベル・エキップ』、お店の名前にもつながった。

決めたら止まらない池田さんは、フランス留学へも突き進む。
本場のフランスで学んだのは、お菓子作りの技術よりも
一人一人の”生き方”だった。
文化の違いを持つ、多くの外国人と話した。

元々の技術に加え、価値観の広がりを習得した池田さんは止まらない。
自身が貫く「美味しい」に辿り着くために、
一つ一つのお菓子と向き合い続ける。

「死ぬまで完成しないと思う。本当に奥が深い」
とパティシエとして、まだまだ技を磨き続ける。

地元葛飾で、開業した「パティスリー ベル・エキップ」。
職人の池田さんの「美味しい」のサポートをしているのは、
お客さんからの「ありがとう」と家族の支え。

技だけでなく、人間味が加わる。
フランスでも経験した”人”との触れ合いから、
学び、ケーキ作りに活かす。
技術が磨かれるのも人のパワーなんだ、と実感した。

今日もお客さんから「ありがとう」と言われ、
家族の支えを幸せに感じ、
その心の動きをケーキの技へと込める。

同じことの繰り返しのようで、毎日違う感覚を研ぎ澄まし、
こだわりの「美味しい!」を池田さんは生み続ける。

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技は、感性・心の機微が影響して、磨かれていくのだ。
池田さんのお話を聞いて実感した。
手先の器用さとか小手先のことではない、
心の一つ一つの動きが「味と形」に影響する。

目の前の技術を向上させることだけに集中するのではなく、
周りの人の動きや心への寄り添いがいかに大事かを教えていただいた。
集中して夢中になっている時こそ、視点を変えて。
心と技のバランスを保つ日常を私も意識していきたい。
池田さんからの教えに感謝。

池田さんがご登場の「心のそなえチャンネル vol.48」配信中(8月2日13時〜)!
一つ一つの言葉を選びながら、決しておしゃべりではない、
でも人とのコミュニケーションが大好きな池田さんの柔らかい空気感を
どうぞご堪能ください!

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