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不定期囲碁日記

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囲碁を中心とした日記です。創作詰碁や初心者の方への解説、棋戦をまとめたり感想を書いていきます。少しでも囲碁普及に繋がりますように。
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#囲碁

遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その5

遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その5

対局場のある日本囲碁機関(キカン)に向かう電車の車窓から外を見ると雨が降り出した。
ふと前の8人席を見ると全員がスマホを操作している。
SNSに興じる者、アプリゲームに没頭する者、仕事に追われる者…
こうして見ると囲碁は時代にそぐわないかもしれない。
派手なグラフィックもない、個性的なキャラクターも出ない、そして何よりルールが分かりにくいという声をよく耳にする。
それでも粘り強く、手法を変えながら

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遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その4

遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その4

「師匠、お聞きしたいことがあります」碁盤越しに師匠の神崎に問う。
「孫の運動会の活躍か?」目を輝かせてスマホの写真を見せようとしてくる。
「いやそうじゃなくて…」
「カカカ!冗談だよ」師匠が笑いながらお茶のお代わりを振舞ってくれた。

「師匠は65歳で引退されましたよね?もう少しプロ棋士を続けなかったのですか?」
将棋界は降級点という仕組みがあり一定の成績を収めないと引退する仕組みがある。囲碁界に

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遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その3

遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その3

リストラを回避するためには、次の最終予選決勝に勝って棋星戦リーグに入らなければならない。この間まで何となくプロ棋士を続けていた身としては、勝てば天国負ければ地獄の1局に今から緊張している。

大一番で使う布石(試合の最序盤)をどうするか考えながら電車に乗る。日本囲碁機関(キカン)の最寄り駅を通り過ぎ、大きなターミナル駅で乗り換える。駅ナカにお菓子の有名店が出張しているので、そこでこれから会う人物に

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遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その2

遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その2

高村と居酒屋で別れてスマホが反応した。弟の翔からの電話だった。
「兄貴おめでとう!棋星戦リーグ入りまで後1つだね」
棋星は囲碁の大きなタイトルで、8人による挑戦者決定リーグで優勝し現棋星と七番勝負で先に4勝すればタイトルとなる。道のりは遠いが、リーグ入りさえ叶えばタイトルも夢では無い。
「ありがとう翔。仕事は順調?」
翔は3つ下の弟で、一緒に囲碁を始めたが翔はアマ初段の壁を越えられず辞めてしまった

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遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その1

遅咲き棋士のリストラ回避録【連続お仕事小説】その1

「リストラ?俺が?」思わず飲んでいたビールを吹き出しそうになる。
「馬鹿、声がデカイ」同期の高村がなだめるが、事実上の戦力外通告を受けた身としては驚かずにはいられない。利益を出せず赤字を垂れ流したり、労働者不足で事業継続が困難になり止むを得ず突然リストラ対象になる労働者もいるだろう。俺のように。俺の場合_相庭葎は普通の会社員ではなく、囲碁のプロ棋士なのだが。この物語は俺がリストラを回避するための物

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石穿の囲碁問題NO.134【黒番】

石穿の囲碁問題NO.134【黒番】

初級者の方向けの詰碁を出題しています。今日は少しだけ難易度UPです。

問題【黒先白死】白は隅に1眼あるので、黒はもう1つの眼を作らせない工夫が必要です。

失敗

外から眼を奪いに行くと白△に眼を持たれるので、黒は工夫が必要です。

正解

正解は黒1の場所です。黒3で白3つがアタリの状態になりました。

続正解

白4で黒1は取られますが、黒5まで進むと白×が欠け眼であることが分かります。

石穿の囲碁問題NO.133【黒番】

石穿の囲碁問題NO.133【黒番】

初級者の方向けの詰碁を出題しています。今日は1手で完結するためノーヒントです。

問題【黒先白死】ハネて眼を取りに行くのは成立しません。

正解

正解は黒1です。ここに打つとダメが詰まっているため白は身動きできない事を確かめてください!

石穿の囲碁問題NO.132【黒番】

石穿の囲碁問題NO.132【黒番】

初級者の方向けの詰碁を出題しています。

問題【黒先白死】ヒントは前回の問題を振り返ると分かりやすいと思います。
黒番で無条件で白を取って下さい。

正解

正解は黒1が急所です。黒3でダメが詰まっているため、白は1眼しかできません。

石穿の囲碁問題NO.131【白番】

石穿の囲碁問題NO.131【白番】

久々に初級者の方向けの詰碁を出題していきます。

問題【白先白生】コウ黒1で白を取ったと言っていますが、白から抵抗する手段が残されています。

正解

正解は白2です。白△のコウを争うことで、無条件で取られるのを防ぐことができます。

コウに勝って△に白が置けば2眼を確保することができます。

石穿の囲碁問題NO.130【黒番】

石穿の囲碁問題NO.130【黒番】

久々に初級者の方向けの詰碁を出題していきます。

問題【黒先黒生】黒先黒生きです。無条件で2眼を確保してください。
黒1つがアタリになっているのが気になりますが…

失敗

残念ながらアタリを繋ぐと白2で全体が取られてしまいます。

正解

失敗図から十三5が急所であることが分かります。

十三6に1眼を確保し、次に黒Aor黒Bで1眼を確保できます。
仮に白2でBと打たれても黒Aと眼を確保すれば、

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石穿の囲碁問題 効率よく守る

石穿の囲碁問題 効率よく守る

今回は効率のよい守り方を紹介します。相手にキリを打たれないようにどうすれば良いか考えてみましょう!

テーマ図互先で私が白番です。黒41で白△のどこかが切断されそうです。
白42でどう打てば黒のキリを効率よく守ることができるでしょうか?

失敗

テーマ図で黒からAorBが見合いの形のため、白は直線的な守備を打つと黒から攻撃されてしまい切断されます。

白42(テーマ図A)を守ると黒43(同B)に

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石穿の囲碁問題 キリにはノビよ!

石穿の囲碁問題 キリにはノビよ!

地域囲碁サークルの1局より紹介します。今回のテーマはキリ(石を切断する手)への対応です。相互フォロワーさんの記事を拝見して記事にしてみました。

テーマ図7子局で白21まで進んだ局面です。
白19で黒△にツケ、黒20のハネに対し白21とキリを打ちました。
まずは黒△、白19、黒20、白21の状態を互いにキリを打っている格好なので「キリチガイ」と呼びます。オセロの開始時みたいな配置ですね。

実戦

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石穿の囲碁問題 実践編6

石穿の囲碁問題 実践編6

地域囲碁サークルで定期的に指導碁を打つようになりました。
今回は置き碁だけでなく互先でも見かけるチャンス手について解説していきます。

テーマ図9子局で白11まで進みました。黒12でおすすめ手があります。
この一連の流れをマスターすれば置石(ハンデ)が減って上達しますよ!

黒12がおすすめ

黒12で左上の白石に迫る手がおすすめです。仮に白13で手を抜いた場合、黒から鋭い狙いがあります。

黒1

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