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好きだった人

つい最近、昔好きだった人からMessengerに連絡が来たので、
その人のお話を。


昔好きだった、なんて表現をする年齢になったということか。
と、謎な部分に引っ掛かりつつ。
ざっと14~15年前に好きだった人。

MessengerってFacebookと連携しているメッセージアプリだし、
つまりLINEを知らないということ。
時代を感じます。

***

20代前半、飲食店でバイトをしていた私が、
同じビルのカラオケ店で働く3歳上の大学生の彼に恋をした。
ほぼ一目惚れだった。

たぶん周囲にバレバレだったのだろう、私の好意。
「あの人はやめときな」
そう忠告された時には、私はもう恋に落ちていた。
だから、そんな台詞、気にも留めなかった。

自分にしては珍しく積極的に話しかけたりして、連絡先を交換して。
バイト先に食べに来てくれたり、バイト後にごはんを食べに行ったりする仲になって。
毎日のように連絡を取るようになって、二人で遊びに行ったりして。

二人の仲が深まってきた頃、聞こえてきた噂。
「○○、彼女居るの知ってる?遠距離だけど」

ショックだった。
私はもう好きで好きで、毎日が楽しくて、彼に会えるからバイトも楽しみだったのに。
騙された気分だった。

しばらく悩んだと思う。
ある日、勇気を出して本人に聞いてみた。

『○○さん、彼女居るって本当ですか…?』

「ん?あぁ、居るよ?言ってなかったっけ?」

…すごくない?この回答。
いま思い出してもすごいと思う。
何がすごいかというと、この時点で彼は私の家に頻繁に来るようになっていたということ。

このあたりから私はだいぶ病んでいたと思う。
スパっと関係を断ち切れるほど強くはなかったし、彼女さんを切って自分を選んでもらえるとも思えなかった。
そして、何より私が彼を好きだった。嫌いになれなかった。

というわけで、ずるずるした関係を経て、
彼は就職と同時に引っ越し&遠距離の彼女のもとへ行ってしまい、私はあっさり捨てられた。
物理的に離れてしまい、どうしようもなく、ただただ落ち込んだような気がする。

***

そんな彼から連絡があったのです。
今はもう結婚して家庭があって、私のことなんて忘れていてもおかしくないのに。

連絡は大した内容ではなく、軽く近況報告をしたくらい。
それでもやっぱり嬉しくなってしまった自分。

自分とは違う感覚を持っている彼がすごく魅力的だった。
落ち込んだり悩んでいると、別の視点での捉え方を教えてくれた。
元気が出ないとき、気分転換に連れ出してくれた。
不機嫌なとき、くだらないことを言って笑わせてくれた。
怒っていても、面倒くさがらないで一緒に居てくれた。

いまだに時々思い出す、過去の恋愛で一番といって良いほど好きな人。


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